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【 イベントレポート 】

『水族館プロデューサー中村元 presents 中村元の超水族館ナイト2016秋 ~命のリアルを伝えたい!~(vol.25) 』ライブレポート(16.10/02開催)

2016年11月24日

命のリアルとは?


ペンギンのリアルな姿

「天空のオアシス」 をテーマに中村さんが展示プロデュースを手がけ、2011年8月にリニューアルオープンしたサンシャイン水族館ですが、2017年4月に屋外エリアのマリンガーデンが生まれ変わります。テーマは「天空のオアシス第2章」。5つの新展示が加わるそうですが、注目は2種類のペンギンの展示。ひとつは「天空のペンギン」。オーバーハングした半トンネルの水槽で対面側もアクリルとなっており、東京の空をペンギンが飛んでいるように眺めることができるというもの。そして、もうひとつが…

中村さん
「草原のペンギンや!」

テリーP
「草原?ペンギンが草原にいるんですか?」

中村さん
「日本の水族館のペンギン展示はどこも擬岩で岩場を作っています。だから日本人はペンギンは岩の上にいるものだという間違ったイメージを植え付けられてしまっているんです。」

テリーP
「えっ?違うですか?あれは本当の姿ではない…と?」

中村さん
「実は岩の上にいるペンギンは少なくて、海岸から少し離れた草むらの中に穴を掘って巣を作り、そこで暮らしている。それがペンギンのリアルな姿なんです。僕は『水族館でなぜ草原にいるペンギンの姿を見せないんだ?』とずっと思っとったワケです。」

そういえば以前の超水族館ナイトでもそんな話がありました。2014年2月に行われた19回目の超水族館ナイトにゲスト出演した辺境取材コーディネーター・斎藤美香子さんが、草原で暮らすペンギンの写真を見せてくれました。
 

草原のペンギン
(超水族館ナイト2014春 ~世界の果てまで行ってAQ~ より)

草原のペンギン

 
テリーP
「なんで本当の姿を展示しないんですか?」

中村さん
「ひとつは飼育係、展示係が原地での本当の姿を知らないんだろうね。あとは、管理上の問題でペンギンの糞を流しやすい、掃除しやすいからやろな。」

ペンギンの糞は非常に臭く、しかも、ペンギンが糞をした場所の草は枯れてしまうほど強烈なのだそうで、水で洗い流せるように擬岩やコンクリートの展示場にした方が飼育係が楽なのだという。しかし、「生き物の本当の姿を見せるのが水族館展示のあるべき姿だ」と中村さん。

中村さん
「難しい展示でもやろうと思ったらできなくはない。そう思って実現方法を一生懸命考えました。そして、できます!来年の4月を楽しみにしてください!」

客席(大歓声&大拍手)

中村さん
「…で、今日のテーマ(命のリアルを伝えたい)なんやけど、その生き物が自然で生きてるリアルを伝えるにはどうしたらいいかということ事を真剣に考えながら水族館は展示を作っていかなきゃいけないという話です。」

そのために最も大事なのは ”理解力” だと中村さんは言います。その生き物のリアルな姿を理解して初めてそれを表現することができ、そして伝えることができる。理解がなければ何も始まらない。サンシャイン水族館の丸山館長は実際にケープタウンでケープペンギンのリアルな暮らしぶりを見ているので、糞対策の非常に難しい展示ではあったものの「やりましょう!」と中村さんと意見が一致し、『草原のペンギン』 は実現へと向かいました。

ちなみに2011年8月のリニューアルオープン時から話題を集めているサンシャイン水族館を象徴する展示「天空のアシカ(アクアリング)」も一見イレギュラーな展示に見えますが、現地でアシカのいる海に潜るとアシカは上から様子を見に来るのだそうです(人間のほうがアシカより下に位置しているとアシカは安心して近づいてくるのだとか)。実際にアシカの泳ぐ海に潜ったことのある中村さんが、その時に見た ”リアル” を再現した展示でした。
 

「天空のアシカ」もリアルを伝える展示だった
天空のアシカ

 


 

理解したものを表現してこそ水族館展示

 
中村さん
「僕は水族館プロデューサーや水族館の展示係というのはアーティストと同じやと思ってるのよ。」

つまり、水槽の展示を創るのは絵画を描くことと同じであり、水族館を建てることは美術館を建てるのと同じである…と。

テリーP
「アートといえば最近流行りのアートアクアリウムってありますよね?」

中村さん
「うん。でも、あれは水槽のアートであって水族館とは違います。」

中村さん
「もちろんアートアクアリウムは綺麗だし楽しいよ。でも、自然を伝えているものではないんです。だから水族館とは違った楽しみ方をするものなんです。そして、水族館は生き物や自然の真実を展示するところなんです!」

テリーP
「中村さんが水槽展示を作っていく上で何を一番大事にしているんですか?」

中村さん
「さっきも言ったけど良い展示はまず理解力からや!」

中村さん
「例えば、ピカソは絵はモデルを色々な方向から見た時に表情が違うことや、さらにはその人の内面(考えてる事、優しさ、恐ろしさ)に至るまで、理解する事がすごく多かったんです。それを二次元に表現するにはどうしたら良いかを突き詰めてああなっている。水槽の展示も同じで、その生き物のリアルを理解するところからスタートしなければダメです。」
 

まず、理解すること!
全ては理解することから始まる

 
水族館の飼育係や展示係は、しばしば他所の水族館の視察に行くそうなのですが、「それが日本の水族館の一番ダメな慣習である」と中村さんは指摘します。
 
中村さん
「そんな暇があったらその生き物の原産地に行って野生の姿を見て来るべきなんです。どんな表情で、どんな生活をしているのか…。それこそが命のリアルです!」

テリーP
「なるほど。リアルを見ないでリアルを伝えられるワケがない…と」