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【 イベントレポート 】

目に見えないモノノケを目撃する!『TOKYO妖怪ナイト vol.2 ~ 妖怪造形大賞の最新(本年7月)受賞作品公開』 ライブレポート(18.07/21開催)

2018年09月04日

【 これが今年の最優秀作品賞! 】

 

お待たせしました。いよいよ、今年の最優秀作品賞です!

■ 雷音(最優秀作品賞)/ 作者:杉山幸則

雷音同士が激突したときに生じる雷(電気)によって
体の各所にあるスピーカーから雷鳴を轟かせ
その音の大小で互いの優劣を決める妖怪。
また雷が鳴り土砂降りの雨が降るのは
積乱雲によるものと言われるが、
戦いに敗れた雷音が悔し涙を流すからだと、
その妖怪を知る者は言う。

メカロボットにも見える妖怪。細かな部分まで作り込まれていて、背景の半立体のレリーフが奥行きを感じさせてくれます。

 

 最優秀作品賞:雷音
(Thunder)
最優秀賞2018

 

発想がとにかく斬新!
そして作りがひたすら緻密!

最優秀賞2018(拡大)

 

テリーP
「妖怪造形大賞の作品の妖怪は全く新しく創られたものも多いじゃないですか。 妖怪って言い伝えているもの以外にも勝手に創作しちゃって良いんですか?」

香川先生
「はい、勝手に作って良いんです。創作により生まれた妖怪も沢山います。伝承のないところに妖怪を作ってしまった例を一つ挙げると、鳥山石燕による画集『今昔百鬼拾遺』に出てくる泥田坊という妖怪(泥で出来た一つ目の老人)は、鳥山石燕が知り合いの泥田坊さんという実在する人なんですよね。それを勝手に妖怪に創り上げてしまった…と。」

 


 

【 企画展 『妖怪の水族館』開催中! 】

 

以上、見てきたように、今年も沢山の妖怪が小豆島に集まったワケですが、これらは過去の作品と一緒に MeiPAM 妖怪美術館に収蔵されます。これまでは全作品を展示していたそうですが、さすがに800体を超えていくと、それもなかなか難しいようです。

忠平さん
「そこで、テーマを絞って、それに沿った妖怪を展示したりしています。今は『妖怪の水族館』という企画展をやっていて、海や川や池はもちろん、家の中の洗面所・お風呂・トイレ・はたまた庭の水たまり等々、身近な場所のジメジメとしたところに棲息する妖怪や物の怪たちを ”水族” とみなして展示を行っています。」

下の写真は昨年の妖怪ナイトで会場展示され好評だった『魚面人』という ”夜中に金魚に勝手に餌をやる” という妖怪。このような ”水の妖怪” ばかりが多数集められているようなので、興味のある方は是非!

 

企画展「妖怪の水族館」(MeiPAM4)

●会期:2018/7/14(土)~2019/01/31(木)
●時間|10:00~18:00(入館は17:00まで)

 

金魚に餌をあげる妖怪「魚面人」
(昨年のTOKYO妖怪ナイトにて撮影)

魚面人

 


 

【 妖怪画ライブペインティング 】

 

前半の部が終わり、後半が始まるまでしばしの休憩 … のはずが、一人だけ忙しそうに何やら準備を始めた忠平さん。なんとライブペインティングが始まりました。この日 TOKYO妖怪ナイト に来場したお客さん全員の 妖怪似顔絵 をつなぎ合わせて大きな 人面魚を 描くのだそうです。

 

忠平さんによる
ライブペインティングがスタート!

全員の妖怪似顔絵を描く!?

 

既にステージ登壇者の
妖怪似顔絵が描かれています。
妖怪似顔絵

 

忠平さんはこれまでにも大勢の人の妖怪似顔絵を描いてきました。どんな人でも 「その人だ」 と分かる特徴を残しつつ、見事に妖怪に化けさせてしまいます。

 

ちなみにコレ( ↓ )は昨年の妖怪ナイトで
忠平さんが描いた
テリーPの妖怪似顔絵
(題して『妖怪そうめん小僧』)

昨年の似顔絵

 

…というワケで、ここからは忠平さんは似顔絵の作成に専念。

後半の部は中村さん、香川先生、テリーPの3人で ”妖怪トーク” が進んでいきます。

 


 

【 送り狼は妖怪だった!? 】

 

テリーP
「僕の出身地の奈良県にも沢山の妖怪話があるんですけど、その中に 『送り狼』というのがいたんです。」

中村さん
「送り狼って女の子を親切そうに送って行くフリをしながら、途中で悪いコトする男やろ?」

テリーP
「でも奈良県では妖怪だと聞きました。香川先生、送り狼は妖怪なんですか?」

香川先生
「『送り狼』は妖怪ですね。もともとそういう名の妖怪が先に存在していて、そこから現在の意味になっていったと思われます。送り狼は夜道を歩いていると後ろからついて来る妖怪です。途中で転んだりすると食い殺されてしまうので恐れられていました。でも、最後まで転ばずに家に辿り着けたなら、今度はその狼がいることで、人を化かす狸や狐、或いは他の化け物などは一切近寄ってこなくなる。結果的にその家を守ってくれることにもなるんです。」

中村さん
「襲われそうだったのに、今度は逆に守ってくれるようになるのか!」

香川先生
「はい。だから家まで無事に辿り着けたら送り狼に「ありがとう」とお礼を言って、いくばくかの食べ物をあげなければいけません。それを怠ったらやっぱり食い殺されます!」」

テリーP
「やっぱり怖っ!(笑)」

香川さんによると「送り狼」の話は奈良県を中心に近隣地域にも様々な言い伝えがあるそうです。

 

「送り狼」妖怪説の謎が明らかに
奈良の妖怪とは?

 


 

【 妖怪と神は何が違う? 】

 

中村さん
「送り狼が妖怪という話は意外だったなぁ。狼って西洋では凄く悪い奴とされているけど、日本では 『大(おお)』『神(かみ)』やん? 狼は神様だと思っていたんやけど。」

テリーP
「僕の故郷の奈良県桜井市には 大神(おおみわ)神社 ってありますよ? やっぱり神様なんじゃないんですか?」

香川先生
「もちろん狼が神様である場合もあるのですが、そうは言っても狼は猛獣です。人にとって危険な存在なんです。」

”神様” と聞くと私たちは非常に厳格で善良な存在を想像してしまいますが、日本神話に登場する神々の中には、悪戯ばかりする神や素行のだらしのない神もいます。また、その姿も神々しいものから物の怪に近いものまで様々です。そう考えると 「妖怪と神の違いって何だろう?」 という疑問が湧いてきます。狼は「大神」として祀られている一方で「送り狼」として恐れられてもいる…。

香川先生
「ザックリとしすぎた説明かもしれませんが、ちゃんと祀られているのが神様で、ちゃんと祀られずにその辺りににいるのが妖怪という解釈で良いと思います。きちんと祀られていないから色々悪さをするんです。両社の境目にいる存在もいますね。ちょっとした祠にいる狐様なんてまさにそれです。祠が壊されたりすると人に祟るワケです。」

 

神様と妖怪の違いとは?
香川先生、妖怪を語る

 

そう言えば前回の妖怪ナイトで香川先生が常陸国風土記という書物に載ってる話を紹介してくれたのを思い出しました。田んぼを開墾しようとしたところ夜刀の神と呼ばれる蛇の姿した妖怪が現れ邪魔をしてきたという。そこで里との境に印の杖を立てて、「ここから上はあなたの土地とするから、ここから下は人間の土地として耕させてください」とお願いし、「もし願いを聞き入れてくれたなら私はあなた達を神様として祀らせていただきます」と伝えた。かくして夜刀の神は 妖怪から神様になった …というもの。

送り狼に話を戻すと、最後のニホンオオカミが捕らえられたのが奈良県東吉野村であることから想像するに、奈良県には古くから多くの狼が生息していたと考えられます。中村さんが指摘したように「赤ずきんちゃん」や「三匹の子ぶた」、「羊飼いの少年とオオカミ」などの海外の童話に登場する狼はひたすら悪の象徴とされていますが、日本では、生命に関わる危害を被る可能性のある恐ろしい動物であると同時に、畑を荒らす鹿や猪を退治してくれるとても有難動物として感謝もしてきました。送り狼の妖怪話は 危険な遭遇を回避しつつ狼と共存していくための ”一つの知恵” として言い伝えられてきたものなのかもしれません。

香川先生
「夜道は狼だけでなく色々と危ないですからね。気をつけなさいというある種の ”戒め” みたいなものだと言ってよいと思います。注意喚起ですね。」

テリーP
「なるほど。戒めですか。僕が小学生の頃、学校の集団下校会の時に毎回校長先生に『口裂け女が出るから寄り道せずにまっすぐ家に帰りなさい』と言われたのを思い出しました。要はそれと同じですよね?」

香川先生
「あはは。そうですね(笑)」

中村さん
「奈良県は児童を早く家に帰させるために校長先生がそんなことを言うんや?さすが奈良県。日本で一番遅れとる県やなるなぁ(笑)」

テリーP
「奈良はもともとの都ですよ!古の都です!」

客席:(笑)