「あらゆるものをイベントに!」渋谷のイベントハウス型飲食店

【 イベントレポート 】

『中村元の超水族館ナイト2018秋 〜水族館でアトムの正義を語ろう〜(vol.31)』ライブレポート(18.10/21開催)

2019年01月04日

4.”正義” と信じたその裏で…

中村さんが 「良かれ(正義だ)と思って始めたことが実はその裏でネガティブな結果をも引き起こしていた」 という事例を3つ紹介してくれました。

◆ フィリピンのはげ山

日本は近代化する過程でコンパネなどの建築消耗材を多く必要とし、安くて加工のしやすい南洋材をフィリピンから大量に輸入していました。当初、南洋材は非常に成長が速いので一度に沢山伐採しても直ぐに次の木が育つので安定供給が可能である考えられていました。日本は需要を満たす量の南洋材を手に入れることができ、フィリピンもその輸出でも経済が潤う。互いにWin-Winの理想的な仕組みが築ける…と。しかし、実際は…

中村さん
「フィリピンは熱帯雨林で雨季と乾季があります。早く育つからと言って木を一度に多くの木をバッサリ切ってしまった結果、雨季に森林の土壌(赤土)が大量に流されてしまいました。また、乾季には本来なら枯れた木が倒れてそれを養分に新しい木が生え、(枯れずに残った)周りの木に守られながら育っていくのですが、一度に全部切ってしまったため新しい木も育ちませんでした。」

結局、フィリピンの島々の山岳林ははげ山だからけに。流出した赤土は周辺海域のサンゴに降り積もってサンゴ礁を次々と死滅させていきました。

◆ 沖縄の赤土汚染

日本復帰後の沖縄では大規模な公共工事やリゾート開発が相次ぎ、そのおかげで沖縄は経済的な豊かさを取り戻していきました。しかし…、

中村さん
「その裏では工事の時に出た大量の赤土が海に流出し、やはりサンゴ礁がどんどん失われていきました。ただ開発も沖縄が自立して行くために必要で正しい道だったんです。難しい問題よね。」

◆ 寄生虫は共生虫 !?

三重県出身の中村さんの学校の大先輩に ”カイチュウ博士” の名で知られる医学博士の 藤田紘一郎 先生がいるそうです。日本人のお腹から蟯虫などの寄生虫を撲滅するという偉業を成し遂げた先生ですが、藤田先生は後に「人間の体から寄生虫がいなくなったら花粉症やアレルギー、肥満が急増した。寄生虫がある意味では人減の体を守ってくれていたのだ」と語っています。

中村さん
「藤田先生とは対談したことあるんやけど、すごく面白いこと言っていました。『人間と寄生虫はある意味では共生していたんです。その証拠に寄生虫を撲滅したら僕の仕事がなくなりました』ってね!(笑)」

客席:(笑)

 

以上3つの事例から分かるように、同じ一つの物事でも必ず ”良い面” ”悪い面” があるということ。

中村さん
「日本人が正義と思ってやったことはフィリピンの人たち見たら完全な悪だったんです。絶対正義もなければ絶対悪もないとはそういうことや! それを鉄腕アトムや鉄人28号が教えてくれているんです!」

 

そもそも正義とは何ぞや?
中村さんの熱いトーク

 

5.水族館は鉄腕アトムの正義を語れる場所 

サンシャイン水族館では沖縄のサンゴ礁再生を掲げて「サンゴプロジェクト」なる活動が行われています。それは沖縄県恩納村のサンゴを水族館で育て、海に還し殖やしていくことで、失われたサンゴ礁を取り戻そうというもの。実際この活動によって少しずつですが恩納村にサンゴ礁が戻ってきていそうです。

中村さん
「水族館はこんなふうに環境問題に対して凄く発信のできる場所だと思っています。でも、いきなり『沖縄のサンゴ礁を守りましょう』なんて語られても眠くなるだけで誰も聞いてくれません。でも、さっきのフィリピンや沖縄の事例を先に知っていたら『サンゴのために何かしなくちゃ』と思いませんか?」

・色々な正義があるということに
・正義の裏には必ず何らかの負の側面があること

「水族館はそれに気づくことができる最高の施設である!」と中村さん。

水族館の水槽を覗くと多種多様な生物がいて、それぞれがそれぞれの正義の下に必死に生きています。強い魚には捕食の正義があり、小さい魚には数で勝つ正義がある。弱い生物は巧みに隠れたり、大きな魚の口の中を掃除することで補色を免れたり、より大きな生き物に寄生する…等々、全てが生きるための正義。

中村さん
「本質的な悪はどこにもいない。 鉄腕アトムが正義と悪の狭間で悩む世界そのものなんです。」

 

中村さんの熱いトークに聞入る
中村さんのトークに聞き入る