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【 イベントレポート 】

『サクラ最前線 2019 〜今サクラに起きていること、そして新種クマノザクラ。〜』ライブレポート(19.03/29開催)

2019年04月07日

103年ぶりの桜の品種・クマノザクラ生の桜

2013年頃から調査のため熊野方面の山中に足蹴く通っていた勝木先生は、2016年についに新種と思われる桜を発見します。地元では「早咲きのヤマザクラ」と考えられていたそうですが、花や葉がヤマザクラとは明らかに異なっていたそうです。新種を決定づけたのはその開花時期。ヤマザクラよりもかなり早く開花し、散ってしばらく経ってからヤマザクラが咲き始める。つまり両者は自然交雑する環境下になく、ヤマザクラとは完全に別種であるとの結論に至りました。

 

クマノザクラの分布。
紀伊半島南部の熊野地方を中心とした
非常に狭いエリアだけに自生。

クマノザクラノ自生域

 

花の比較。クマノザクラは
一つの花芽から2つの花が咲く。
花の比較

 

こちらは葉の比較。
クマノザクラの葉は細長い。
葉の比較

 

クマノザクラは学術的に非常に貴重であるだけでなく、勝木先生はその 観賞価値 も高く評価しています。ヤマザクラより濃いピンク色をした花はとても綺麗で、咲いている間に葉も出ないため、ソメイヨシノに勝るとも劣らない美しい桜と言えます。

 

クマノザクラの花。
綺麗な色、形のものが多い。

クマノザクラの観賞価値の高さ

 

ところで、下の写真は赤木城址公園(三重県熊野市)の上空写真ですが、実はクマノザクラ(左下)がソメイヨシノの陰でひっそり咲いています。

 

ご当地(隠れ)アイドルである
くまのちゃんが実はこんなところに!
クマノザクラの傍にソメイヨシノ

 

勝木先生
「日本人はお城というとすぐソメイヨシノを植えたがりますね(苦笑)。でも、この赤木城のケースは結構厄介なことなんです。」

先ほどクマノザクラとヤマザクラとは開花時期の違いから自然交雑しないと書きましたが、困ったことにソメイヨシノとは開花時期が一部重なっており交雑が懸念されます。クマノザクラの種の保全の為、また、紀伊半島で今後、温暖化によりソメイヨシノが咲きにくくなる可能性をも考慮して、勝木先生は 「ソメイヨシノを切って、クマノザクラを植える」 ことを提案。そのための研究と活動に、今、力を入れているとのことでした。

そうそう、クマノザクラと言えば…、コチラ( ↓ )にも注目!

 

太平洋 ”熊野桜” (尾崎酒造)
熊野桜(大崎酒造)

 

クマノザクラが咲いている地域に拠点を置く唯一の酒蔵尾崎酒造が、『熊野桜』と銘打ったお酒を造ったそうです。勝木先生の元にも沢山送ってくれたそうで、本イベントでは、その試飲会も行われました。すごく飲みやすい美味しいお酒でした。

 

試飲コーナーが設けられ
大変好評でした。
熊野桜の試飲も行われた

 

クマノザクラでお花見

ここからは風景写真家・寺澤秀治さんのコーナー。昨年、そして今年撮ってきたばかりというクマノザクラの写真をスクリーンに映しながらのお花見トークです。

 

寺澤さんの主な撮影機材は
PENTAX 645N, 645N2。
愛機を手にする寺澤さん

 

寺澤さんが初めて撮ったというクマノザクラがコチラ( ↓ )。

 

”クマノザクラ” と初遭遇
寺澤さんが最初の撮ったクマノザクラ

 

寺澤さん
「2017年に勝木先生からどうも新種らしい桜が熊野の山奥にあるというお話を伺って、2018年から本格に撮影を行っています。勝木先生から頂いた資料はあったものの、山の中のとても手の届かない高い場所に咲いていて、しかも、他の木々に囲まれていることも多かったので、花や葉の特徴の確認ができず、最初のうちは、半信半疑で撮っていました(苦笑)」

 

三重県熊野市紀和町にある
小森ダムの湖畔にて
小森ダムの畔のクマノザクラ

 

美しいクマノザクラに
客席からも感嘆の声が漏れる
客席からも感嘆の声が

 

樹形も花の色合いもパーフェクトなクマノザクラがコレ( ↓ )。NTT の施設の近くにあるので、通称「NTT」。もうちょっと他に良い呼び名はなかったのでしょうか?(笑)

中西さん
「そうなんですよ! 残念なことに、これだけ日本人に愛されている桜なのに、どんな名木にも名前(愛称)がないんです。せいぜ い『峯の優良木』とか、そんな表現止まりなんですね。これもできれば 『NTT』 ではなく、何か良い名前が付いてくれると良いのですが…。(苦笑)」

 

桜界隈の関係者が 「NTT」と呼ぶ
超美しいクマノザクラ。
通称「NTT」と呼ばれているクマノザクラ

 

夜は幻想的な風景に!
(背後からライティングして撮影)
夜のNTT

 

星空とクマノザクラのコラボ。
これはHDR的な合成写真だそうですが

熊野で夜、桜の木の横で空を見上げる
こんな素敵な光景が広がっているそうです。
星空とのコラボ

 

寺澤さんの写真でクマノザクラの美しさが十分に伝わったと思いますが、実はクマノザクラにも弱点があるそうです。

勝木先生
「開花する期間が非常に短い。ソメイヨシノが1週間から10日ですが、クマノザクラは3日ぐらいです。」

なるほど。でも、それはそれで儚げで良いかもしれませんね。

 

(next:まだまだ続く、桜トーク)