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【 イベントレポート 】

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~レポート②『令和元年の渋谷とコミュニティ』

2019年07月16日

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~ 

第2セッション『令和元年の渋谷とコミュニティ』レポート

【登壇者】澤田伸(渋谷区副区長)/野村幸雄(渋谷スクランブルスクエア/東京急行電鉄株式会社)、長田新子(渋谷未来デザイン)

 

令和元年6月26日、日本で最もコミュニティ活動が盛んな街「渋谷」にある東京カルチャーカルチャーに渋谷内外からコミュニティのキーマンが大集合!東京カルチャーカルチャーの河原あず(以下、あず)・Peatixの藤田祐司氏(以下、藤田)と共に、様々な角度からコミュニティ活動についてのトークセッションを繰り広げていただきました。

第2セッションでは渋谷再開発事業に携わる三方にご登壇いただき、渋谷コミュニティの今とこれからを語ってもらいました。

 

令和元年「渋谷スクランブルスクエア」オープン!新しい渋谷の幕開けに向けて

あず

澤田副区長、コミュコレへの皆勤賞での参加、ありがとうございます!

さて令和の世を迎えて世の中が平成から大きく変わろうとしています。今日のコミュコレのテーマも「令和コミュニティ元年」なのですが、渋谷はまさに今、大きな変化が押し寄せてきていますね。中でも一番大きなものは11月に控える渋谷スクランブルスクエアのオープンです。渋谷スクランブルスクエアの野村さんにまず伺いたいのですが、渋谷の新しい幕開けの象徴になりそうですが、どんな建物になる予定なのでしょうか?

 

野村さん

一言でお伝えするのは難しいのですが、オープンした暁には導線が改善され行き来がしやすくなる計画なので、もうしばらくお待ちいただきたいと思っています。低層部は都市整備再開発事業として、いかに街を分断させず人々が街を回遊しやすくなるかを考えて設計しているので、たとえば宮益坂と道玄坂が行き来しやすくなるなどという意味では今まで以上に一体化した街になっていくはずです。高層部は展望フロアもありますので、観光という面でも渋谷活性化に貢献できると思います。

 

あず

渋谷スクランブルスクエア内にオープンする渋谷キューズ(以下、QWS)は、イノベーション施設という認識で間違いないのでしょうか?

 

野村さん

イノベーションよりも広い意味で、新しいことにチャレンジしたい人や、世の中のちょっとした違和感に対してなにかやってみたいことがある人の助けになれればと思っています。一人でなにかするのは難しいことですから、チームのように経営やテクノロジーなどいろいろな背景を持っている人をつないで、コニュティ作りのハブになれればと思っています。

たとえば、日本の大学の先生たちは論文を書いても学会発表止まりで、社会の問題解決につながっていくことが少ないんです。そういう研究を社会の課題にぶつけて解決していきたい、という観点で大学との連携を進めています。また、学生の教育の観点から見ても、大学は縦割りで理工系学部と文系学部のつながりがほとんどありません。それでは世界に通用するプロダクトが生まれないので、デザインやアートの分野と理工学分野をつなげていくような取り組みもしていきます。

 

藤田

こうした渋谷スクランブルスクエアの取り組みには、渋谷未来デザインの長田さんも関わっていらっしゃる部分があるのでしょうか?

 

長田さん

オープンイノベーションという意味では渋谷未来デザインも、大学はもちろん企業等との連携を進めていて、渋谷スクランブルスクエアと一緒にやっていけることが増えていきそうです。

元々渋谷未来デザインは、2018年4月に渋谷区と企業の基金で立ち上がりました。企業が行政とやり取りする際に間に入り交渉をスピードアップして、街づくりに貢献していく事業のデザインをすること、そして3年間で我々自身も自走するモデルをつくっていくことを目標にしています。また、企業だけではない様々な立場からの意見を聞いて街づくりに貢献していくこと、渋谷から新しいものをつくっていくということもミッションです。持続可能な街づくりに向けたプロジェクトを見出してどんどん実行に移しています。

私自身、もともと行政とは関係ないところで働いていたので日々驚くことも多いのですが、新しい人との出会いや渋谷という場所でいろいろな思いに出会って一緒に活動できることは非常に魅力的だと感じます。行政に向き合うことって普通なかなかないし、街の商店街の人たちと向き合うのも貴重な経験です。そもそも渋谷未来デザインに関わるようになったのは、澤田副区長から声をかけていただいたのがきっかけでした。

 

澤田さん

渋谷未来デザインの構想づくりの段階から私自身もかかわっています。私も民間から行政に転身したので、行政の最大の問題点は意思決定のスピードが遅いことだと今も感じています。世界の変化が高速化しているにもかかわらず行政がスローなままで、計画から実行まで数年かかってしまうなど許されないはずです。ですからセクターを超えた組織でイノベーションを起こすことが必要です。

東京は都市としての競争力はGDP、文化度、住みやすさなど様々な指標で世界のトップクラスと言われています。だからこそ東京、大阪、福岡、札幌など含めた都市の競争力を高めるためには民間企業、行政、大学、NPOなどが問題解決のため変革を起こす必要があります。渋谷未来デザインはクロスセクターリーダーとしてイノベーションを起こしてくれるはずです。

東急電鉄の開発や渋谷未来デザインの動きの中で重要なポイントは、渋谷の特徴は課題を解決することだけではなく、いかに未来の可能性を引き上げられる街になれるかだと考えています。そのために渋谷未来デザインがあります。人の可能性は無限だから地域の可能性も本来無限なんです。「自分は行政だから」「自分は民間企業だから」と縦割り社会の中で各々が諦めずに活発に議論できることが渋谷の強みだと思います。

 

 

 

渋谷の多様性には説明できない不思議なエネルギーがある

あず

今日は登壇者も含めて個性的な方々に来ていただいています。これからは個性を束ねて新しい価値を創造していくことが必要だと思いますが、渋谷を語るうえで「多様性=ダイバーシティ」という言葉は外せないですよね。渋谷区の基本構想のキーワードとして「ダイバーシティとインクルージョン」とありますが、それぞれの違いを教えてください。

 

澤田さん

ダイバーシティは多様性の状態。インクルージョンは多様性を運動化するムーヴメントを指していると考えています。今日いらっしゃっている方々からも様々なことにチャレンジされているお話を伺いました。個のアイデアが具体的に動くことができて、そこにサポートや資金が集まっていくムーヴメントが起こるのは、渋谷の大きなエネルギーだと思います。街の裏路地に入ったらどうなるかわからないカオスな感じが、世界中の新しいことを始めたい人たちを惹きつけて「渋谷で働きたい」と言わせる魅力の源なんだと考えています。これが渋谷のおもしろさだと思います。

 

長田さん

渋谷に人が集まるという意味では、私の前職の会社は本社がオーストリアなのですが、日本でオフィスを探していたときにいくつも候補地があったにもかかわらず「渋谷で働きたい」との意見が多く、結局渋谷に決めました。それは澤田さんがおっしゃったような渋谷の魅力があるからだと思います。

 

藤田

Peatixも5回オフィスを引っ越ししていますが、創業からずっと渋谷区です。渋谷には不思議なエネルギーがあって、「ここにいたほうがいい!」と感じさせられます。

 

澤田さん

説明できない魅力ですよね。「ひとことで渋谷を表して」と言われても、表すことはできないし、できるようになったら終わりだと思います。


藤田

このような多様性やカオスな感じなど、渋谷に今あるものを新しい施設にどのようにして融合させていこうとお考えですか?

 

野村さん

それを考えるにあたって、渋谷の歴史を縄文時代にまでさかのぼって勉強しました。実は渋谷には古墳がたくさんあったんですよ。

 

あず

古墳!なんだか意外です。

 

野村さん

昔から集落が存在していたようです。渋谷には大きな4つの台地があって、その谷底が渋谷なんです。4つの台地を区切っている坂というは、万葉集にも書いてあるそうなのですが、文化の境目や異空間との境目という意味もあって、たとえばホテル街の円山町の隣に松涛という高級住宅街があるのは坂で区切られている文化の境目があるからなんです。

渋谷は江戸と外との境目のなので中心に比べてゆるさがあって、中央ではできないようなことも渋谷で許されるような風潮があったようなんです。今もスクランブル交差点でお祭り騒ぎがあったりしますしね。このような歴史的・地理的な背景が多様性を生んでいるのではないでしょうか。

世界でクリエイティブシティと呼ばれることは、クリエイティビティの高い人をどれだけ集められるかという世界を相手にした競争なんです。その中で渋谷は高いポテンシャルがあると思っています。東京は澤田さんがおっしゃったように課題が集まるべき場所だし、解決するべき場所。スタートアップや大企業、大学や研究所など様々な人たちの技術や知識を集めていけば世の中の課題を解決していけるんじゃないか、というのがQWSの最初の構想です。

 

 

 

ハードとコンテンツが融合する渋谷へ

藤田

渋谷の新しい動きのなかには代々木公園のスタジアム構想がありますよね。渋谷未来デザインの長田さんも関わっていらっしゃるのでしょうか。

 

長田さん

そうですね。我々は代々木公園にスタジアムを造るために民間の意見を聞く活動をしています。海外の都市では都心にサッカーチームとスタジアムとコミュニティがあってサッカー観戦以外の目的でも常に人が集まれる場所があるのですが、東京には23区内のような中心部にはないんです。スポーツ観戦だけではなく防災やエンタメなどの場面で人々が集まれる場所がほしいという声があったんです。賛否両論はもちろんありますが、避難所だけではまかなえない帰宅困難者対策としても役立てますし、都市の競争力を高めるという意味ではそんな場所が必要だと思います。

 

澤田さん

長崎市をはじめ各地で都市型スタジアム計画がありますよね。

 

あず

楽天やDeNAが構想しているように、また広島がマツダスタジアムが実現しているように、多様な人たちが多様な方法で活用できる、都市とコンテンツをつなぐ空間があると面白いな、とぼくも思います。

 

長田さん

これまで日々幅広い分野の人たちと会って顔を合わせることを心掛けてきた中で気づいたのが、横のつながりが意外とないということです。一番ギャップを感じたことは、「都市開発」といえばビルなどの建設ということで渋谷で建物等をつくっている東急電鉄や東急不動産などに話を聞いたときに、コンテンツ側とのつながりが少ないんだなぁと感じました。ソフト面とハード面が合わさって話し合われることがないんだなぁと。ほかにも前職のつながりでアスリートコミュニティに触れて、やりたいことがあってもだれに言ったらいいかわからないという声もありました。もっと世代やジャンルを超えてつながり合って話し合える場があればいいなぁと思っていますが、渋谷はそういうことができる場所なのではないでしょうか。

 

野村さん

高層ビルがたくさんある街づくりを否定はしませんが、私個人としては渋谷はそういう場所ではないと思っています。衣食住と遊があることが大事で、サンフランシスコにIT企業が集まってくるのはそういう街だからなのでしょうし、渋谷もそういう街になれる可能性が十分あるのではないでしょうか。

 

藤田

お三方はコミュニティということを軸に「コミュニティが生まれる器をつくる」ということを中心に考えていらっしゃるのですね。企業が作ったコンテンツとうまく組み合わさって、渋谷がさらに面白い街になっていくといいですね。

 

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