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【 イベントレポート 】

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~レポート③『令和元年の企業コミュニティ』

2019年07月16日

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~

第3セッション『令和元年の企業コミュニティ』レポート

【登壇者】森田謙太郎(Talkback Inc. 代表)、市川瑛子(ランサーズ株式会社)、宮本 昌尚(株式会社DeNA SOMPO Mobility

 

令和元年6月26日、日本で最もコミュニティ活動が盛んな街「渋谷」にある東京カルチャーカルチャーに渋谷内外からコミュニティのキーマンが大集合!東京カルチャーカルチャーの河原あず(以下、あず)・Peatixの藤田祐司氏(以下、藤田)と共に、様々な角度からコミュニティ活動についてのトークセッションを繰り広げていただきました。

第3セッションでは企業のなかでコミュニティづくりに取り組まれていらっしゃる三方にご登壇いただき、コミュニティマーケティングのコツを目から鱗な情報を交えてたっぷりお話いただきました。

 

企業コミュニティのキーマンが語る!コミュニティマーケティングの実践術

宮本さん

私はAnyca(エニカ)という、個人間カーシェアサービスを運営しています。Aribnbの車版という感覚で、自分の車をシェアする側は車種等にもよりますが23区内であれば月2万5000円くらい車の維持費が軽減できます。利用する側としては700車種もの中から好きな車を安価に利用できます。その事業においてコミュニティをはじめマーケティング全般を担当しています。

 

市川さん

私はランサーズというフリーランス向け支援プラットフォームの会社で働いています。入社は1年くらい前で、今年4月から「新しい働き方LAB」を立ち上げ、冗談で所長だと言っていたら本当になってしまいました(笑)。以前はコンサル会社で朝から晩まで働く生活をしていたのですが、海外に行く機会があり自分のこれまで当たり前と思っていた働き方が当たり前じゃないと気付いたことや、もともと興味があった教育の関係で子供に触れるうちに、子供よりも同世代の人の目に輝きがないことが心配になってしまい、同世代の大人が生き生きと働けるような社会をつくりたいと思い、今の活動をしています。

 

森田さん

私が設立したTalkback Inc. というのは副業の会社でして、普段はTwitter社の日本法人で働いています。Twitterのビジネス向け活用セミナーの運営や登壇をしたり、全国各地のラジオ番組にお邪魔したりしています。今回のように、最近は副業の立場でも出演や登壇をさせて頂いています。

 

藤田

お三方は企業でマーケティングやコミュニティづくりに携わっていらっしゃいますので、企業軸からお話を伺います。宮本さんはコミュニティの鉄人で、コニュニティマーケティングを体系化し実践されていらっしゃいますが、具体的にはどうのようにビジネスに活用しているのでしょうか。

 

宮本さん

やはり、みなさん知らない人の車に乗るのって怖いですよね。シェアする側も、利用する側も。Anycaは、説明会、撮影会、ミートアップなど様々なイベントを月7回くらいやっていて、ユーザー同士に対面で会ってもらい「こういう人達にならカーシェアしてもいい!」と思ってもらうための機会を作っています。おかげさまで、これまでいくつかの競合サービスが出てくる度に「Anycaはコミュニティ形成を重視しているけど競合の〇〇はやってくれるのかな?」とユーザー側から言っていただけるくらい、ユーザーと一緒に作っているサービスです。

 

あず

個人の車をシェアするための信頼性をどういうプロセスで担保しているのでしょうか?

 

宮本さん

コアのところは会ってみて「この人、良い人そう」と思ってもらうことです。ユーザー同士のレビューシステムはもともとあるのですが、それだけでは信用できないと感じる方もいます。ユーザー同士そして運営サイドともつながっている状態をつくり「なにかあればすぐ連絡できる」という安心感を持ってもらっています。日本ではこういうビジネスモデルはまだまだ少ないみたいですね。アプリや製品と違ってコミュニティって簡単には真似できないので、競争優位性をつくりやすいんですよね。

 

藤田

ランサーズでもイベントをたくさんやっていますよね。コニュニティづくりについてどのようにお考えですか?

 

市川さん

フリーランスの方たちから「一人で淡々と仕事をしているとさみしい」という声も多かったのですが、それ以上に「成長できない」「ロールモデルがいないからどうすればいいかわからない」という声がありました。それに応えるために、フリーランス同士でも会社やチームに所属しているような感覚を作ろうと考えました。ランサーズがつくってしまうと上下関係みたいなものができてしまうので、全国11拠点にフリーランスのコミュニティマネージャーを置いて自由にイベントをやってもらう仕組みにしています。

コミュニティマネージャーに対して募集やコンテンツなど基本的な支援もしていますが、「コミュニティマネージャーをやりたい思いはあるがどうしたらいいかわからない」という方たちに対して合宿を開いて彼ら彼女ら同士をつないであげたり、ランサーズの利用者にイベント告知をしてコミュニティの認知を拡げたりしています。

 

あず

コミュニティマネージャーになる人は立候補式なんですか?それとも「YOUやっちゃいなよ!」的な指名方式なのでしょうか。

 

市川さん

どちらかというと「YOUやっちゃいなよ!」式ですね(笑)。正式な手順はなくて、たとえば合宿で仲良くなったフリーランスの方が持っているアイデアに対して「それ、やってみない?」という空気からコミュニティマネージャーが住んでいる地域や出身地など、希望する地域に拠点をつくりに行くという流れです。結果として、奥多摩や筑波など郊外の意外な場所に拠点があるんです。実はマネージャーの中にはランサーズのユーザーではない方もいらっしゃいます。つまりランサーズは、単なる会員数ではなく⾃分らしく⽣き⽣きと働く⼈を増やすことが究極のゴールなので、そこに共感してくれている人を巻き込みたい。今使っていない人でも、選択肢として知ってもらえたらいいし、もっと⾔うとそういう⽅たちにも使ってもらえるようにランサーズ⾃体も成⻑していく必要があると思っているので、機能に対するフィードバックをもらうこともあります。

 

宮本さん

Anycaのイベントもそうです。車好きが集まっているので、Anycaのユーザーが非ユーザーの車好きを呼ぶ、ということが起こります。

 

あず

コミュニティマネージャーを発掘するのって難しいと思うのですがどういう人を巻き込んでいったらいいのでしょうか?

 

市川さん

私が思うのは「思いを語れる人」かな。実績があるかどうかは関係なくて、「自分がしてきたこういう苦労をしなくていいようにしたい!」とか「フリーランスの底力を見せたい!」とか、恥ずかしげもなく語れちゃう人でしょうか。

 

宮本さん

私は「幹事力がある人」。飲み会や同窓会を主催しちゃうような人ですね。

 

 

 

イベント運営のコツは「ユーザーを巻き込みながらつくること」

藤田

企業はコミュニティ形成に注目している状況で、数多くイベントを開催するようになっていますが、ノウハウを知りたいと思っているビジネスマンも多そうです。そんな中、森田さんはたくさんイベントを開催されているとのことですが、どのくらいイベントを開催されているんですか?

 

森田さん

今は育児休暇中なのですが、普段は月6~7回ペースで、全国でイベントを開催しています。100名くらい来場するセミナーを受付から登壇まで一人でやります。

 

会場一同

えーー!!

 

あず

イベントをやったことがある人ならわかると思いますが、100名規模で運営が一人ってありえないですよね!?

 

森田さん

受付はPeatixがあればできるんです(笑)。で、開演時間になったら受付を離れてしゃべりはじめるんです。

 

藤田

ありがとうございます~!100名規模イベントの運営はPeatixがあれば大丈夫として(笑)、たとえば席が後方から埋まってしまって前方が空いてしまったとします。一人では来場者の誘導はできないですよね。

 

森田さん

私はそういうところを工夫するオタクみたいな部分があって、例えば最前列の席にだけノベルティを置いておいとくと自然とそこに集まって頂けますね。後方の席を後から来た人のために空けておきたいときは「関係者席」と札を置いておくと最後まで空けておいて頂けます。こういう細かい工夫を3年くらいかけてたくさん積み重ねてきました。

 

藤田

なるほど。森田さんのセミナーではソーシャルメディアのビジネス活用法を伝えることがメインになると思いますが、一人運営であるが故に参加者が満足してもらえないリスクがどうしても出てきてしまいますよね。そこはどのように対策されていますか。

 

森田さん

いくつかありますが、まずは事前のコミュニケーションが大事だと思っています。「一人で運営しているので、助けてください!」のようなことを前もって来場者にメールしておきます。あとは、「ハッシュタグを付けて実況してください」というのはやらないようにしています。来場者がみんな下を向いてしまって自分がしゃべりづらくなってしまうし、参加者の満足度が「話が面白かったかどうか」ではなく「実況がうまくできたかどうか」に向いてしまうからです。

 

あず

目から鱗です。たしかに、イベントを開く側としてはその場でしかできない体験をしてほしいですね。拡散はしてほしいけれども、まず記憶に残ってほしいものです。

 

森田さん

代わりに、私の話を聞いた感想を投稿してもらうようお願いしています。その感想ツイートをまとめて読めるURLを次回のセミナー告知に用意しておくと、多くの方がそれをきっかけに来てくれます。イベントの熱量って投稿では伝わらないんですよね。実況と現場の熱量は全然違うし、本当に伝えたいことは投稿されていなかったりもします。スクリーンに「バーン!」と名言が出るようなイベントならみんな同じことを投稿してくれるのですが、そうでなければ実況ではメッセージがまっすぐ伝わりにくいんですよね。

 

藤田

そうなんですね。リアルの場での熱量を高めるには実況は封印ですね。

 

宮本さん

たしかにソーシャル投稿では熱量を伝えにくいので、私の場合は熱量の高い人はインタビューに行くことが多いです。

 

あず

ぼく、実は自分のイベントの実況ハッシュタグが盛り上がらないことがコンプレックスだったんです。でもそれは、ぼくに熱狂してくれてたんですね!専門家にそう言ってもらえて救われました(笑)。

 

森田さん

本当に面白いイベントだったら実況している暇なんてないですから!

 

藤田

宮本さん・市川さんは、ユーザーを巻き込むことについてどう考えていますか?

 

宮本さん

Anycaの場合、イベント会場での誘導や受付、カメラマンをユーザーにやっていただけたりします。これはあるアンケートでAnycaを好きになったきっかけを聞いたら「Anycaからなにかをお願いされたとき」という回答が一番多かったことから始めた取り組みです。ユーザーの自発的な場合もあるし、運営側からお願いするケースもあります。こうして巻き込んだユーザーは来場したユーザーと同じ立場で交流ができるので、ユーザーに活躍してもらえる場をつくっています。ユーザー自身が好きなこと・得意なことをやってもらうと満足していただけますよね。

 

あず

東京カルチャーカルチャーの「地味ハロウィン」というイベントでは常連さんがスタッフや警備員の格好をしてくることがあるんですが、来場者の整理を勝手に手伝ってくれるのですごく助かるんですよ。しかも、それで喜んで帰っていくんですよね。

 

市川さん

コミュニティマネージャーが人を巻き込むには、たとえば「お手伝いチケット」と名付けてドリンクチケット付きにするとそのチケットが先に売り切れたりすることがあり、良い流れだなぁと思います。Facebookでマネージャーが呼びかけるとフリーランスという立場だからこその巻き込み力が発揮されることもありますね。あるイベントでコミュニティに対して「やってほしいこと」と「できること」のアイデアを募集してみたところ「できること」のほうが多く集まりました。コミュニティに関わる方ってTAKEよりもGIVEが強いんですよね。子供がくるイベントでは保育士の方が一時託児所をやってくださったことがありましたよ。

 

森田さん

私は冷暖房の操作パネルに近い席の方にノベルティを差し上げてその操作をお願いしたり、最前列にいる方に私のスマホを渡して写真撮影をして頂いたことがありましたね。あとは、イベント参加者にはTwitterアカウントを聞いて、イベント数日前にリストに入れて互いをフォローしておいてもらうと、当日集まってもらった瞬間から交流が始まっています。そんな事前のコミュニケーションも大切だと思います。

 

市川さん

ランサーズでも、全拠点で同時刻に行うオンライン交流会でつながった人たちが、後日リアルイベントで会って「あの時の!」と交流が始まることがあります。

 

 

 

熱量のあるファンの存在にちゃんと気づくことの重要性

藤田

お三方の関わるサービスにはすでにいる熱量の高いファンがベースになっているのだと感じたのですが、どのようにして熱量のあるファンを獲得していけばよいのでしょうか?

 

宮本さん

私がAnycaや他社の事業に関わってきた中でできた仮説では、すでにいる熱量の高いファンに気づけてないだけだと思っています。マスコミュニケーションでは気づけないので、ちゃんと気づくことが大事だと思います。

 

市川さん

あるイベントで社長がある女性に「ランサーズのおかげで人生変わりました!」と言ってきた方がいて、実はその人が今はコミュニティマネージャーをやっている、なんてことがあります。このようにランサーズが好きで思いを言葉にしてくれる来場者もいれば、ランサーズを使っていないコミュニティマネージャーもいて、私自身のようになにかしら思いをもってランサーズに入った社員もいて。こういった三者が交わって話し合える場があると熱量が高まるのではないでしょうか。

 

森田さん

私の場合、どうしても自サービスのスケール化が難しいと思ったときに、企業としてではなく一度個人として活動してみようと思い、たとえば登壇したイベントの感想ツイートひとつひとつに返信したりしてみました。すると「モリケンはコメントすると返事をしてくれる」ということが徐々に浸透してきて、そんな「マメな人感」を良く思ってもらえた感覚があります。コミュニティマネージャーという仕事って別の担当者へ簡単に引き継ぎできる仕事ではないと思いますが、むしろ引き継がないつもりで個人帰属という意識でやっていいのではないかと私は思います。

 

藤田

サービスの人間味を伝えることって大事ですよね。

 

森田さん

どんな会社でも深掘りしてみるととても人間らしい人がいたりするので、そういう個人を見てほしいと思っています。

 

 

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イベント開始前から終了後まで交流が絶えないにぎやかなイベントとなりました!

次回の開催もお楽しみに!