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【 イベントレポート 】

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~レポート①『令和元年の場づくりとコミュニティ』

2019年07月16日

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~ 

第1セッション『令和元年の場づくりとコミュニティ』レポート

【登壇者】白石健太郎(朝日メディアラボベンチャーズ/スタートアップビアー)、柳原暁(EDGEof)、蛯谷敏(LinkedIn Japan)

 

令和元年6月26日、日本で最もコミュニティ活動が盛んな街「渋谷」にある東京カルチャーカルチャーに渋谷内外からコミュニティのキーマンが大集合!東京カルチャーカルチャーの河原あず(以下、あず)・Peatixの藤田祐司氏(以下、藤田)と共に、様々な角度からコミュニティ活動についてのトークセッションを繰り広げていただきました。

 

東京カルチャーカルチャーは飲んだり食べたりしながらトークが楽しめる会場です。まずは乾杯からスタート!

 

 

さて、ここからは3つのパートに分けたトークセッションの始まりです。

第1セッションではコミュニティを形成する「場」をつくっている三方がコミュニティ活動に携わる上で必要なポイントを三者三様に語っていただきました。

 

白石さん

私は朝日新聞に入社し、現在は朝日メディアラボベンチャーズという会社でCorporate Venture Capital(CVC)としてベンチャー企業への投資をしています。もともと朝日新聞本体でベンチャー企業への投資の担当になったのがメディアラボベンチャーズにつながっているのですが、当初朝日新聞の新規事業担当に異動の辞令がでて、ベンチャー投資をやることになったときにはスタートアップの方たちとつながりがなかったので、どうしたら自分でそういう方たちを集められるか考えて立ち上げたのが「スタートアップビアー」というイベントでした。スタートアップ企業とつながりたい人たちがビールを通してつながるイベントです。

 

柳原さん

私はEDGEofという会社でスタートアップのインキュベーション、事業づくりのサポートをしています。その一環で、「Open for the public」という、学生や研究者などを集めて社会と接続点を持たせる活動をしています。論文というのは証拠があるものしか発表できないので限度がありますが、彼らはフューチャービジョン、つまり「こういう未来をつくりたい」という話をするとおもしろいんです。たとえばVRをはじめに研究していた人たちだって、どう役に立つのかわからず推定するしかなかったはずですよね。そうやって学生や研究者に「この技術がこうやって役立つんだ!」というビジョンや研究のゴールを語り合ってもらい、話を聞きに来てもらった投資家や事業会社のみなさんに、そのビジョンや研究についてのレビューを本気で書いてもらうんです。そのあと、ディスカッションの時間もつくることで、研究者と社会を接続しています。

 

蛯谷さん

リンクトインというビジネスSNSの会社で編集の仕事をしています。私は元々出版業界にいて伝統的なメディアづくりをしていて、去年からリンクトインのコンテンツを作ってほしいということで入社しましたが、リンクトインは海外と比較して日本でのプレゼンスが低かったので、独自で記事を書く以前に読み手を増やすことから始めなければと思ったのです。出版業界にいたときは取材して記事を書くまでで終わりだったが、今は読み手をつくるためにコミュニティを作ろうと考えています。出版業界は避けがちなソーシャルメディアの世界にもどっぷりつかっていますね。

 

あず

このセッションでは場作りがテーマになっています。つなげていきたい人たちに対して三者三様の役回りがある中で、みなさんはどんな人に集まってほしいですか?

 

スタートアップとつながりたい困っている人を集めたい ~朝日メディアラボベンチャーズ/スタートアップビアー 白石さんの場合~

 

白石さん

事業会社の人たちはどうやってスタートアップと会って良いかわからないみたいなので、リサーチが必要になった段階でどんな人とつながったらいいかわからない人が多く、自身も悩んだ経験があります。そこでキーマンに相談すると「こういう人を紹介するよ」と教えてくれたんです。その自身の経験から、自分もそんな風に紹介する側になって恩返ししたいと思い、困っている人がいたら人を紹介したり、アドバイスしたりして、とことん無尽蔵に愛を注いでいます。見返りなんて気にしていないのに意外なところで突然大きなお返しをしてくれる人もいて、それが嬉しいです。

 

藤田

スタートアップビアーは非常に多くの方たちが参加されていますよね。これまでは狙い通りの人に来てもらっている印象ですか?

 

白石さん

ただ単に楽しく騒ぎたいと思って来てくれる人もいますが、狙い通りにその場でビールを飲みながら話しているうちに資金調達を受けたなんてエピソードを聞くと、マッチングの場になったことが嬉しいですね。ただ残念なことに、会場のキャパシティに対して倍以上の方に来ていただくこともあり、SNSで「狭かった……」などと言われているのを見るととつらいです(笑)。ずっと同じことをしていても飽きられてしまうので、近々大きなリニューアルを検討しています。

 

あず

たくさんの方に来ていただけるのは有難い一方で、人数が増えると、場でうまれるつながりが希薄化してしまう限界点もあるかと思いますが、どのようにお考えですか?

 

白石さん

そうですね、狭い会場でやるのは意味があります。50人くらいまでは来場者が滞留しないで動き回ってくれるのですが、100人だと大きすぎて同じ人同士が固まってしまうんですよね。当初は10人くらいでやっていましたが、それでも盛り上がりましたからね。

 

藤田

コミュニティ活動をしている方たちに聞くと、最初は20~30人がちょうどいいとおっしゃる方が多い印象があります。

 

 

自分自身がおもしろいと思うコンテンツがあってこそのファン形成 ~リンクトイン 蛯谷さんの場合~

リンクトインの蛯谷さんの場合はビジネスパーソンに特化したコンテンツが多い印象がありありますが、やはりキャリアに興味がある人を集めたいのでしょうか?

 

蛯谷さん

リンクトイン全体としてのグローバル戦略はキャリアに興味がある人向けですが、日本で読者をつくるために行っている施策に関しては私たち作り手の意思に任されています。アメリカ本社は日本語を読めないですからね(笑)。おもしろいコンテンツがそこにあればよくて、結局は自分自身がおもしろいと感じるコンテンツや人を紹介していれば自然と人が集まってくると思っています。

 

藤田

オンラインサービスであるリンクトインにとって、リアルな場を活用するイベントには大きな意味があるのではないでしょうか?

 

蛯谷さん

そうですね。日本は一度会っているかどうかでコミュニケーションの円滑さが違います。実際、記事を元にミートアップをやってみたところ、記事にコメントやメッセージも増えました。それからは最初の一歩は顔を合わせたほうがいいと思っています。面白いコンテンツづくりに関しても同様で、やはりおもしろい人を集めるポイントは、おもしろい人に会ったときに誰に会えばいいのか聞くこと。おもしろい人のつながりで、おもしろい人に出会えますし、リアルな場のほうがスピーディにつながりやすい利点があります。

 

藤田

リアルの場で会ってもらうことでオンラインの交流が活性化されるということですね。オフラインでコミュニティをつくる活動をしているは日本法人だけなのでしょうか?

 

蛯谷

海外法人ではコミュニティアクティベーターという役職の人がいてやっていますが、日本とはやり方が違うようです。日本では、元になるコンテンツがないとうまくいかないような気がしています。

 

 

フューチャービジョンを語れる学生や研究者と社会をつなぐ ~EDGEof 柳原さんの場合~

あず

EDGEofの柳原さんにお聞きしたいのですが、企業同士をつなげるほうが事業づくりの実績を出す近道という感じがするのですが、なぜ学生や研究者たちを選ぶのでしょうか?

 

柳原さん

日本ではスタートアップ企業よりもコアテクノロジーを持っている学生や研究者のほうが可能性があるのではという……自分の勘ですね(笑)。

 

藤田

それは柳原さんの個人的思想なのでしょうか、それともEDGEofの方針なのでしょうか。

 

柳原

正直いうと、僕の好きでやってます。ただ、EDGEofは、社会を変えることがゴールなので、良くも悪くも投資家とはプレーの基準が違うんです。とにかく、技術で社会課題を解決することを真面目に考えています。大学の研究者が研究について語ると、技術によるインパクトが意外なかたちで飛び出してくることもあります。たとえばアリの背中にQRコードをつけてアリの生態を解明するという研究から、Googleの検索ワードとバズったワードの競争関係の話につながって、その関係性について明らかになってくるとか……話すとキリがないんですが(笑)

 

藤田

話が難しくてお客さんがポカンとしてますよ(笑)。アカデミック領域でのコミュニティづくりについては意識していますか?

 

柳原さん

アカデミックの領域では研究室と学会はありますが、学会を超えた横のつながりがあまりないそうで、研究者同士のコミュニティをつくると喜ばれます。ディスカッションの機会をつくってますし、相互に情報を開示する場をつくったりしてます。なにも見返りを期待せずにやっているのですが、思わぬ相乗効果が生まれることがあります。大事なのは「評価しあう」ではなくビジョンを語り合う場だと定義すること。論文のエビデンスベースではなくしているのはそういう理由です。研究の実現性は問わずにフューチャービジョンについて考える、議論するという形にすれば、役立つ・役立たないという軸から開放されて、いきいきした議論につながるのです。

 

藤田

そういった方たちは普段あまりつながっていないとおっしゃっていました。ということは、ただオンラインでただ呼びかけても集まらないと思いますが、どういう風に呼びかけて、巻き込まれているのでしょうか。

 

柳原さん

たとえばTwitterで見かけた人だったり、論文を読んでいいなと思った人だったり、人の紹介だったり。ありとあらゆるルートから声をかけます。相手からしたら怪しいと思うんですが(笑)、それでも乗ってくる人は、みんな相当おもしろいです。「ぼくの実証実験につきあってください」といってお願いしていますが、断られたことはないんですよ。

 

あず

三者三様ですが、共通しているのは各々コンテンツに興味をもっている人を集めて熱量を上げるという手法ですね。

 

 

コミュニティ活動に必要なのは「コミュニティへの愛」

藤田

みなさんにお聞きしたいのですが、コミュニティにアプローチしたことによるポジティブな影響や得られたことはありますか?

 

柳原さん

自分が知らない世界を紹介してくれるので、それを吸収することで自分自身が成長できていることに感謝しています。あとは、参加してくれた研究者がテレビにでたり成功していくので目利きをほめられることが増えました。他人のふんどしで相撲を取る状態ですね(笑)。ただ、これは会社から課せられたタスクだったらここまでできなかったと思います。個人の意思と熱量でやっている部分が大きいです。

 

白石さん

今はこんなふうにしゃべっていますが、実は人前でしゃべることが苦手だったんです。コミュニティをやっていると「演じる」ことが必要になる。普段は自分から人に声をかけることなんてないのに、人に声かけるとかがんばっちゃう。それが結果として自分自身の成長になったなぁと感じられます。やるまでが面倒だけど、やっちゃえば楽しいんです。

 

蛯谷さん

そこは似ていますね。それで、最初はこちらから「一緒にやりましょう」と声をかけることから始めますが、ある到達点までいくと逆に周囲から声をかけられるようになります。今は自分で考える以上にアイデアをもらうことがあり、やっていてよかったと感じています。

 

藤田

コミュニティ活動は会社や事業としてだけではなく個人としても得られるものが多いようです。会社から課せられたミッションではなく、コミュニティへの愛情がないとできないということですね。

 

 

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