「あらゆるものをイベントに!」渋谷のイベントハウス型飲食店

【 イベントレポート 】

旨味のかたまり「海苔」を楽しみつくすノリノリな実食エンタテインメント!旅するおむすび屋さん×東京カルチャーカルチャーpresents 『春の利き海苔ナイト! Collaboration with Inspired.Lab meetup』ライブレポート(19.05/28開催)

2019年08月30日

まだまだ残暑が続いていますが、ここで1本、春 (~初夏) に行われたイベントの紹介させて頂きます。私の方で取材をしたものの多忙でなかなか記事にできていなかったのですが、これが非常に楽しく、また、同時に深く考えさせられるイベントであって、しかも、その後に興味深いアクションもありましたので、皆様にも是非、知って頂きたく…。

そのイベントとは 「海苔の違いをノリノリ楽む」 を合言葉に、カルカルとしても初めて  ”海苔” にスポットライトを当てた 交流型実食エンタテイメント

題して、 春の利き海苔ナイト  。2019年 5月 28日 に開催されました。

古くから日本の食文化を支えてきた ”3大うま味成分” をご存知でしょうか? 主に昆布などに含まれる グルタミン酸、主に鰹節などに含まれる イノシン酸、主に干し椎茸に含まれる グアニル酸 の3つの成分のことを指します。海苔はこの3大うま味成分の全てを豊富に含んだ優れた食材。自然食品で3大うま味成分が全て含まれているものは他に殆どないそうです。

そんな 奇跡 のうま味のかたまり=海苔 を皆さんは存分に味わえていますか? 海苔を口にする機会は多くとも ”海苔の個性”  までも意識して食べている方はまだまだ少ないのではないのでしょうか? もしそうだとしたら、もったいないです! 海苔をもっともっと味わってみませんか?

海苔には産地の海況のよって、或いは、作り手のこだわりによって、色・味・風味・口どけ、香り・つや…等々、豊かな個性が現れます。本イベントは様々な海苔を食べ比べる 「利き海苔」 によって、その個性を知り、海苔づくりにかかわる人たちの個性をも知ろう…。そんな趣旨で開催されました。

海苔漁師さんの想い溢れるトークに始まり、海苔漁師さんの解説付き利き海苔コーナー、他の食材と組み合わせて海苔の新たな旨味を発見する企画 「Inspired NORI.Lab」、旅するおむすび屋さんによる 「おいしい海苔で食べる おいしいおむすび」、海苔好き同士で海苔を語りまくる交流タイム…等々、海苔をトコトン楽しむ企画が盛り沢山でした。 では、その様子をお届けします。

 

「春の利き海苔ナイト」登壇者の皆さん
春の利き海苔ナイト

 


 

会場はいつもの渋谷カルカル( cocoti4F ) …ではなく、大手町ビル6階にある 「Inspired.Lab」  。SAPジャパンと三菱地所が開設した ”社会課題を解決する新規ビジネスの創出” を目的としたオープンイノベーションのためのスペースです。本イベントはカルカルが Inspired.Lab とコラボレーションする形での ”出張開催” でした。

 

大手町ビル6階 「Inspired.Lab」。
テクノロジとビジネスが共創する
イノベーション空間となっている。
Inspired Lab

 

プライベートオフィスや
大小ミーティングスペースが並ぶ。
3Dプリンタや工作機器を取り揃えた
ものづくりのラボも併設されていました

協創を促すイノベーション拠点

 

そんな共創空間でイノベーティブに海苔の魅力にアプローチしていきます。

 


 

【 出演者紹介 】

 

ギリギリ5月の開催ということで 「春の…」 とタイトルが打たれたのですが、お天道様は実に意地悪で、まるでイベント開催のタイミングを狙ったかのように日本列島に季節外れの スーパー猛暑 が到来!  もはや初夏というレベルではなく、北海道ではなんと気温 39 度を記録。 あまりの暑さにネット上では 「松岡修造が来ているのではないか !?」 との冗談が溢れましたが、調べてみたら本当に松岡氏が北海道でテニス教室を開催していたという(笑)。では、関東の猛暑の原因は…!?  ひょっとしたら ”この男” のせいだったのかもしれませんよ!? そう、本イベントに参加するために 熱き熱き海苔漁師  が東京にやって来ていました。

 

■ 相澤 太さん(海苔漁師/アイザワ水産 代表)

宮城県東松島市で海苔養殖業を営む アイザワ水産 の三代目海苔漁師。皇室献上海苔の栄誉を競う 「奉献乾海苔品評会」 において史上最年少(28 歳)で優賞する等、名実とも海苔業界の若きエースとして活躍中。海苔づくりの傍らワークショップや講演活動で全国を飛び回り、自然と人の未来を描く熱き言葉を届けている。

 

海苔漁師・相澤太さん
相澤太さん

 

とにかく海苔への愛情が凄い! そして発する言葉の一つ一つが熱い! なるほど猛暑にもなります(笑)。 …とは言っても、見た目はチャラいサーファー風!?  海苔業界の未来を担う若きリーダーであることを証明するためにまずは漁師合羽を着用するところから…!

 

相澤さん、生着替え!?
生着替え!?

 

ザ・海苔漁師!
”海の男スイッチ” が入りました。

(お客さんからも拍手と大歓声)
ザ・海苔漁師!

 

■ 菅本香菜さん(旅するおむすび屋さん)

全国を旅しながらこだわり食材に出会い、美味しい情報を発信。「人と人、地域と人が繋がることで世界を広げたい」 と旅先で集まった人たちとおむすびを結ぶ 旅するおむすび屋さん として活動中。愛称はおむすびちゃん。

 

いつでもとびきりの笑顔!
菅本香菜さん(旅するおむすび屋さん)
菅本香菜さん

 

菅本さんは前職で有明海の海苔漁師の取材したことがキッカケで海苔の魅力の虜に…。

菅本さん(以下、敬称略)
「その海苔漁師さんは取材を受ける条件として私に 『有明産の海苔が一番おいしいみたいなことは書かないでくれ』 とおっしゃったんです。『全国各地の海苔漁師は皆それぞれが想い持って海苔に個性を表現している。だから誰のどれが一番とかではなく、それぞれの海苔が持つオンリーワンの良さを楽しんでほしいんだ』 と。この考え方、凄くカッコイイと思いませんか? 私はここから海苔と海苔漁師の魅力にどんどんハマっていきました。」

そして、全国の海苔の産地を巡るようになった菅本さん。その過程で紹介を受けて相澤さんとも出会ったそうです。

 

司会進行はカルカルより河原あず氏
(コミュニティー・アクセラレータ)

司会進行・河原あず(カルカル)

 


 

【 ただ作るだけでは未来がない! 】

 

相澤さん(以下、敬称略)
「僕ね、実は28歳まで敬語が使えなかったんです。」

河原(司会進行)
「えっ!? ヤンキーか何かだったんですか?」

相澤
「ヤンキーじゃないです!(苦笑) 漁師ってず~っと海の上にいるじゃないですか? だから対人コミュニケーションが殆どなかったんですね。厳しい自然が相手で、1年1年ハッキリと結果が出る仕事でもある。だから僕はライバルを一人ずつブッ倒して浜で一番になるんだという思いで生きてきました。それこそ誰よりも早く海に出て一番遅く帰る…みたいに。」

そんな孤高の漁師だった相澤さんに大きな転機が訪れます。

相澤
「28歳の時に(優賞にも輝き)少しずつですが自分の思い描く海苔を作れるようになってきて、海苔を作る現場だけでなく、自分の育てた海苔が買われている現場や食べられている現場も知りたいと思うようになりました。それで実際に見に行ったんです。そしてもの凄いショックを受けました。良いものが良い状態で全く届いていないことに気づいてしまったんです。」

味は二の次三の次。海外から輸入された価格の安い粗悪な海苔ばかりを問屋は扱い、国産の海苔に対しても品質により価格を下げることを強く求められた。結果、我が子のように手間暇かけて育てた自慢の海苔が売られずに何年も倉庫に眠っていたことすらあったそうです。

相澤
「おいしくない海苔を食べていれば絶対に海苔離れが起きます。そうなったら海苔の文化は衰退し、もう次の世代には残せないんです。」

流通だけでなく環境の問題も含めて、現代日本の食産業が抱える幾多の問題に芋づる式に気づいてしまったという相澤さんは 「もう、ただ作るだけでは未来がない!」と、自ら ”伝える” 活動 をしていこうと決意します。海苔漁師同士で身を削るような価格競争を繰り広げるのではなく、それぞれの海苔の個性・価値を認め合いながら切磋琢磨して ”本当においしい海苔” を届けていく。多くの人においしい海苔を知ってもらうことで、食べる人を変え、それによって、問屋・市場をも変えていこうと相澤さんは考えました。

河原(司会進行)
「素晴らしい! …で、具体的に何から始めたんですか?」

相澤
「えっと、まずは ビジネスマナー書 を月に3冊買って読みました!(笑)」

客席:「……!?!?」

河原(司会進行)
「活動の最初のステップがまさかのビジネスマナー書!? でも、いつも軽妙なトークをされていて、敬語が使えなかった人なんて微塵も感じないですよ?」

相澤
「はい。これがビジネスマナー書のおかげなんです!(笑)」

このエピソードは決して冗談でも誇張でもなく、相澤さんは本気でビジネス書を読み漁り、敬語の使い方からビジネスマナー、企画書の書き方まで学んだそうです。全ては ”おいしい海苔を 届け、伝える” ため。もちろん、いきなりうまく事が運ぶワケもなく、初めは門前払いされることも多かったそうですが、相澤さんの熱意や諦めない気持ちが徐々に人々の心を動かし、飛び込み営業が成功したり、プレゼンや講演の機会が増えたり、”海苔の伝道師” としての活動がここからダイナミックに広がっていきました。

そんな熱き海苔漁師・相澤さんの人となりがダイレクトに伝わる言葉を紹介しましょう。それは菅本さんが相澤さんの取材で対談した際に印象に残ったフレーズを書き出したもので、名付けて ”相澤語録”  

 

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