「あらゆるものをイベントに!」渋谷のイベントハウス型飲食店

【 コラム 】

Peatix Japan 藤田祐司氏インタビュー「僕らがカルカルとコミュコレ!をやる理由」

2019年08月29日

東京カルチャーカルチャー(カルカル)と共同でイベントシリーズ「コミュコレ!~Community Collection~」を企画・共催しているPeatix Japanの藤田祐司氏。「コミュコレ!」に限らず、「NHKディレクソン」「078Kobe」などのイベントでカルカルと一緒にコラボを重ねているキーマンの1人です。

PeatixのCMOへの就任が発表され、共同創業者・取締役として同社のグローバルマーケティングを統括する藤田氏。いったいなぜ、彼はカルカルとのコラボを推進するのか。東京カルチャーカルチャーのコミュニティ・アクセラレーター・河原あずが対談して伺いました。

※2019/9/12に渋谷ストリームホールで「コミュコレ!」が出張開催されます!詳細はコチラ!
https://commucollewiw2019.peatix.com/view

河原あず(左)と藤田祐司さん(右)

 

藤田氏「カルカルとの出会いはコミュニティに向き合うきっかけになった」

 

河原あず(以下、あ): 祐司さん、まずはPeatixのCMO就任、おめでとうございます。

 

藤田祐司さん(以下、ゆ): ありがとうございます。もともと国内のマーケティングは見ていたのですが、Peatixの世界展開を見据えて、グローバルでコミュニティへのアプローチをより広げていきたいということもあり、今回このようなリリースに至りました。

 

あ: 広げていきたいコミュニティへのアプローチというのは?

 

ゆ: まさしく、カルカルさんとご一緒している部分でもあるんですけど、「コミュニティを支援していく」姿勢をもっと鮮明にしようと。カルカルさんとは、2016年頃から、コミュニティという文脈でイベントなどでご一緒しているんですが、実はそれが大きなきっかけになりました。

 

あ: へぇ、それは嬉しいですね!

 

ゆ: 「コミュコレ!」などのイベントを自分自身でやってみることで、人のつながりの大切さを改めて認識し、つながりを醸成していくことを支援していくのがPeatixのやりたいことだなって、再確認できたんです。日本での取り組みがうまくいったので、今度はどんどんグローバルに広げて行きたいなと。とてもやりがいのあるミッションだと思っています。

 

あ: そんな新しいステージに向かう祐司さんですが、今回はせっかくの機会だし、なれそめの話からしたくて(笑)……2011年頃、祐司さんがカルカルにPeatixのサービスの紹介に来たのが最初の出会いでしたね。

 

ゆ: 打ち合わせに行ってみたら、すぐに一部プロデューサーのイベントで数回試してくれたんです。でも、本採用にはそのときは至らず……そのあといったん疎遠になるんですよね。

 

あ: 当時はプロデューサーたちが操作に慣れなかったというのと、Peatixのようなソーシャルチケッティングの概念がまだ浸透していなかったんです。

 

ゆ: 次に会ったのは2012年のあずさんのイベントでしたっけ?

 

あ: そうです、ぼくが会社の研修制度を利用して行った3か月のシリコンバレー研修の報告イベントを2012年4月にやりました。そのあと2013年8月からシリコンバレー駐在することになったんですが、駐在期間内の日本出張中にぼくが開催したイベントにも祐司さんが来てくれた。時々、イベントで顔を合わせてはいたんですよね。

それで2016年秋に、ぼくがアメリカから日本に戻ってまたカルカルに再配属されたとき、ソーシャルチケッティング導入の話が持ち上がっていました。そのときメインで使っていたチケットサービスでは過去の来場者に直接告知したいイベントのプロモーションができなかった。だけどPeatixならカルカルのアカウント自体にフォロワーが溜まっていくから、過去の来場者に再リーチができる、という話を当時の部長に話したら、すぐ話を聞きに行こうと。そしたらとんとん拍子で商談が進み、あっという間に導入が決まりました。ぼくのイベントでまず導入して、オペレーションの問題がないことを確認して、他のプロデューサーに広めていった。単なる集客の数だけではなく、呼びたい層を効率的に呼び込みやすいという点でカルカルにフィットしていきました。

 

藤田氏のチャットでの即答から「コミュコレ!」は始まった

 

ゆ: 2016年10月にカルカルで開催されたタムカイさん(富士通デザイン・タムラカイ氏。2人の共通の友人)のイベントでPeatixを使い始めたタイミングあたりから、元々飲み友達だったあずさん・ぼくの弟の藤田遼平・タムカイさんの3人の輪にぼくも入っていったんです。その4人のグループチャットがあって、そこでわちゃわちゃとくだらない話をするようになって、カルカルのイベントであずさんが司会をするたびにタムカイさんがグラレコをしに来て、ぼくと弟は、弟が運営している「チャットキャスト」(チャット形式で書いたイベントレポートなどを編集し記事として公開できるサービス)でイベントレポートを書きに来て、4人がカルカルで集まる状況が増えていきました。

 

あ: それぞれ勢いもあったし、いい時代だったね(笑)。

 

ゆ: (笑)。一方で、その少しあとの2017年初頭からぼく個人の志向がコミュニティに寄って行くんです。Peatix自体も創業から渋谷区に拠点を構えるコミュニティのサービスなのですが、人に誘われて「渋谷をつなげる30人」や「green drinks Shibuya」など渋谷のコミュニティに接するうちに、渋谷のことを真面目に考えている人たちがたくさんいるということがわかってきて、様々なコミュニティイベントに参加するようになっていきました。

 

あ: その頃ぼくには、開業したばかりの渋谷キャスト(2017年4月開業)という渋谷再開発の起点となる場所の隣にあるというカルカルの立地を生かしたイベントをやりたいなと温めていた構想がありました。それは、渋谷のコミュニティのキーマンを30人くらいごちゃまぜにして壇上で飲みながら、わちゃわちゃと入り混じってトークするというもの。そのラフな企画書をさっきの4人のチャットに投げてみたら、祐司さんが即答で「この企画いいじゃないですか、一緒にやりましょう!」と言ってくれたんですよね。

 

ゆ: ぼく自身も渋谷のコミュニティにいるおもしろい人たちとなにかやりたいと思っていたし、以前よりPeatixで主催している「イベントサロン」は、イベント主催者のためのコミュニティでした。また違った軸でできるといいなぁと考えていたときで、あずさんのアイデアに乗っていきました。タイミングがかみ合って、話を始めてから1か月後にはコミュコレ第1回を開催できました。ふたりで挙げた登壇者候補26人のうち「15人くらいOKしてくれたらいいね」くらいの感覚で声をかけていったら、なんと25人がOKしてくれたんです!結局最初にあずさんが描いていた”わちゃわちゃ”の図に近くなりました。

 

あ: 今より登壇者が多かったよね。

 

ゆ: 今思うと、今回の3倍近くってすごいですよね(2019年6月開催時は9名)。イベントの流れとしては4人×6セッションだったのですが、4セッション目ぐらいから会場のあちこちで小さな飲み会が始まって盛り上がっていて、壇上含めて会場全体で新しいつながりがどんどんできていく空気感がすごく良かったです。課題はいろいろあったのですが、ぼくたちふたりが作ってみたかった、今までありそうでなかったコミュニティの世界観をうまく作れたという感覚でした。登壇者の皆さんは、「思った以上にしゃべれなかったけど、おもしろかった!」と言ってくださって、神様みたいな人たちだなと思いました(笑)。

(2019年6月開催「コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2019~」レポートはこちら

 

藤田氏「登壇者と来場者が自然とつながるのが初期コミュコレ!の価値だった」

 

ゆ: ぼく個人の感覚として、2015年に渋谷区長に長谷部さんが就任されたことや2016年の冬にはカルカルがお台場から渋谷に移転してきたことで「これから渋谷でおもしろいことが起こりそうだな」と感じていたし、渋谷にはおもしろい人たちがたくさんいることに気づいたときだったので、1回まずやってみた後、これからもコミュコレのようなお祭りを続けていこうという思いがありました。

 

あ: カルカルとしても、今だから言えるけど、運営会社がニフティから東急グループに変わりそうな流れの中で、渋谷での存在価値をつくるのに、どんな新しいことができるかを考えていた重要な時期でもあったんです。コミュコレ初回から皆勤賞で参加してくださっている渋谷区副区長の澤田さんが以前「渋谷民」という概念についてお話されていました。区民や在勤者だけではなくて外からやってきて活動している人たちなど、渋谷に関わっていく人たち、要するに“関係人口”を増やすことが渋谷の目標である、というお話を伺ったときに「カルカルのやっていくべきことと合致するな」と思ったんです。だからコミュコレには区外の人も呼んだし、来てくれた人たち同士がつながって仲良くなって「渋谷みたいなことやりたい」と言って帰っていく人がいたことが、すごく満足でした。

 

ゆ: Peatixとしても渋谷のコミュニティとちゃんと接していきたいと考えていた大事なタイミングだったのもあり、渋谷のおもしろい人たちを集めるコミュコレは我々にとってもすごく重要だったというのがあずさんとぼくとで共通していましたよね。とにかく、実際にやってみたらすごく楽しかった!

 

あ: 楽しかったね!あと、やってみてわかったことは、横のつながりが意外と少ないこと。

 

ゆ: コミュニティのキーマン同士でも業種が違うと全然互いを知らないことも多いですよね。最近のコミュコレはトークセッションっぽくなってきましたが、初期のコミュコレは、ゲスト25人による自己紹介祭りみたいな感じでした。登壇後に会場内で自由に話してもらうのがメインで、登壇者と来場者が互いにつながり合えるということが初期コミュコレの価値だったように思います。

 

あ: 登壇者は自身のプレゼンスを出したいし、なにより新しい人に出会いたいはず。「コミュコレに来ている人たちは、なにかしらおもしろい人が集まっているから、行くといい出会いがあるだろう」という期待感を持ってくれているようです。

 

ゆ: そうですね。前回(2019年6月)登壇してくださった方のなかには、声をかけたときにすごく喜んでくれて「出てみたかったんです!」と言ってくださった方もいらっしゃいました。すごく嬉しかったですね。

 

あ: それは嬉しいですね。登壇者を選ぶときは、我々にも、登壇者にも、来場者にも、先々につながる関係を提供したいというのが一番大きなテーマです。

 

藤田氏「人前でしゃべるのとファシリテーターでは使う脳が全然違う」

 

あ: それからはほかの仕事でも一緒に動くこともあったりして。祐司さんはコミュコレ以外アイデアソン参加者、優勝者、審査員、そしてファシリテーター、とだんだん絡み方のバリエーションが増えていきましたよね。

 

ゆ: そうです。ただ、コミュコレ第1回のとき、ぼくはファシリテーターとしての経験がほぼなくて、一方、あずさんはファシリテーターの第一線で活動していたので、ぼくは完全に空気に飲まれてしまってました(笑)。当時は人前でしゃべることとファシリテーションでは使う脳が全然違うことをあまり理解していなかったんですね。初めてのファシリテーター経験をしたコミュコレ第1回と同じ月に開催したイベントでファシリテーターをやってから、他の場でもやるようになって、徐々に慣れていったという感じでした。審査員も同じようにやっていくうちに慣れていったのですが、審査員は自分の思ったことを独自の視点でしゃべるという自分の中での型があるので、ぼく個人の感覚としてはトークゲストとして登壇するときと変わらないんです。一方ファシリテーターは登壇者が言ったことに反応するのはもちろん、話を引き出したり、会場の人が知りたいことを質問で投げかけたりするようにしています。

 

あ: 先の流れをつくっていく質問を投じるのは、まさにファシリテーターの仕事の肝ですよね。

 

ゆ: ファシリテーターをやるようになってから審査員のやり方も変化していると思っています。アイデアソンなどのプレゼンでは発表者たちが言い残していそうなことを汲み取り質問として投げかけることで+αのプレゼンができるように考えるようになりました。ファシリテーターのときは、登壇者たちが自発的に話せる人かどうか、ここまで話した分量のバランスはどうか、などを踏まえて「この人にあと1回は質問してみよう」などと考えながらトークを聞いています。

 

あ: コミュコレではファシリテーターをぼくと祐司さんのふたり体制でやっていて、ボケとツッコミみたいなキャラクター分けがはまっています。これはあえて分担したわけではなくて、現場でいつの間にかそうなっていますね。

 

ゆ: 普段の関係性が反映されている気がしますね。台本もないですし。必要なのは時計だけ(笑)!

 

藤田氏「ローカルイベントとコミュコレ!は相性がいいんですよ」

 

ゆ: 今年(2019年)1月は1時間セッション×2回、4月は30分セッション×3回と、いろいろな型を試した結果1セッション3~4人で30分セッション×3回という型がちょうどいい感じがしています。登壇者にもよるのかもしれないですが、それで計10~12人を呼ぶのがコミュコレの良いバランスを出せるのかなとぼくは思っています。

 

あ: ただ登壇人数を減らしてきたことで「この人も呼びたかったけど呼べない!」という人がでてきているのが悩ましいところですね。

 

ゆ: それはありますね!あとは集客にも課題があると思っていて、まさに今回自社のメンバーから「チケット販売ページのカバー写真に登壇者の顔写真を並べたほうが集客できるんじゃないですか?」と言われました。今の、客席含めてみんなでワーっと盛り上がっている雰囲気のカバー写真はイベント終了後のレポート写真としては完璧だけど、新規顧客からすると内輪感みたいなものを感じて参加しづらいと思う可能性がありますよね。「コミュコレは魅力的な登壇者が集まっているという特徴を表現したほうがいい」と言われたので、今後の工夫としてやってみたいと思っています。

 

あ: あとは、今後は全国でコミュコレを開いていきたいです。今年(2019年)4月に神戸で開催したときはアウェーで開催する意義を感じました。たぶん、内と外を良い感じに混ぜるというのが重要で、全員がいつものメンバーではダメだし、かといって安定感のあるメンバーがいないのもやりにくい。中の人と外の人をどう混ぜるかという黄金律みたいなものがきっとあって、ぼくと祐司さんの感覚を混ぜてそれをうまいことできるのがコミュコレの隠れたバリューだと思っています。

 

ゆ: 神戸では2年前にPeatixとして「イベントサロン」をやって、今年(2019年)はコミュコレをやってみて、全国で多くの魅力的な方々のお話を聞くならコミュコレのほうが向いてると感じました。「イベントサロン」は一人ずつじっくり深掘りしてトークを聞いていくスタイルなんですが、コミュコレはもっとお祭り感があっておもしろい人がいることを表に出していくスタイルなので、地域の魅力を一気に伝える、引き出す時は、コミュコレが良いなと感じてます。

 

あ: NHKディレクソンというイベントで全国15都市以上まわって気づいたんだけど、渋谷でもそうなのですが、他の地域ではより顕著にコミュニティが縦割りになっている分、それぞれの持ち場を盛り上げることに専念していて、余程の動機がない限り横のつながりが自然には醸成されにくいんだと思います。でも、そういう人たちがつながり合って一緒になにかやっていこうとした瞬間にそれぞれの持ち場を超えた動きが生まれるし、渋谷とは違いそういう動きが周辺のコミュニティに対して可視化されるのが速い。

 

ゆ: これを外様がやるというのも重要だと思っています。内側にいる人たちがやってしまうと見る世界が狭くなりがち。外から来た人なら全体を見渡して「これも、これも、これも、一緒にやっちゃえばいいじゃん!」と言えるんですよね。

 

あ: 内側の人たちだけで集まると「これが良くない!だから我々はうまくいかないのだ!」という課題トークに寄っていきやすい気がします。外の人が別の視点から「その課題って、どちらかというと長所(コアバリュー)じゃないですか!」と食い込んだ瞬間に、客観サイドから殻を破れることがある。

 

ゆ: 「そうか!自分がやっているのはそういうことだったんだ!」という気づきになったりもしますよね。

 

あ: それこそファシリテーターの役割だと思っています。ぼくはファシリテーションを「主観と客観の往復運動」だと思っていて、初めに相手の気持ちに没入して本音にリーチしたあと、客観視点から本音をどう引き出すかというプロセスを繰り返していくとトークが盛り上がるし、話している側は「自分はこんなこと思ってたんだ」と気づくことが多い。だからそういう瞬間をいろんな場所でつくっていけるといいなぁと思っています。

 

ゆ: そういう意味では、もっともっと全国各地でコミュコレを開催していきたいですよね。

 

あ: やりたいですね。全国各地で、おもしろい人たちがいることを可視化していくことにバリューがあると思います。渋谷が盛り上がっているように見えるのは実際に盛り上がっているからでもあるけど、それをちゃんと言語化して発信している人たちがいるからだと思うんですよ。

 

ゆ: SNSだけではなく、活動を可視化する活動が多いですよね。先述の「渋谷をつなげる30人」や「green drinks Shibuya」「渋谷100人カイギ」なども同様なんだけど、いわゆる「有名人」ではない、でも魅力的な活動をしている人たちに光を当てるオーガナイザーたちがいっぱいいるんですよね。

 

あ: またそういうオーガナイザーたちが競合のようになっていないのが良くて、互いのイベントに登壇し合うのが普通になっている。すごく健全なんです。コミュコレがやっているのは「人の魅力の見える化」。それって、他のオーガナイザーたちも一緒なんですよね。それぞれのプレイヤーがそれぞれの目利きで人のバリエーションを示しながら、だけど心の中に持っている想いは共通しているんだよと示せると、かかわる人がみんな豊かな気持ちになれると思うんです。だって、みんな「元々特別なオンリーワン」だから。

 

ゆ: 言うと思いました(笑)。

 

 

(ライター:東京カルチャーカルチャー 廣橋ひかる)