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【 イベントレポート 】

多田将 presents 「『兵器の科学』シリーズ立ち上げ記念イベント」ライブレポート(20.09/05開催)

2020年10月12日

 『兵器の科学』シリーズの特徴

 

『兵器の科学』シリーズは、世にある様々な兵器について、その動作原理を定量的・科学的に解説する本であることは既に述べた通りですが、多田さんが執筆にあたって留意した点や、この本ならではの特徴を挙げてくれました。

・グラフを掲載し、数式は付録にまとめる。

多田さん
「定量的・科学的に解説するため具体的例を示し、きちんと計算をして表やグラフを用いて分かりやすく解説しています。但し、数式は見るのも嫌という読者もいるでしょうから、本文から切り離して付録にまとめてあります。数式が苦手な人は本文とグラフだけ見てもらえばいいし、自分の手で計算してみたい人は付録を頼りに挑戦してもらえればと思います。」

・戦略・用兵の話はしない
・兵器個別の解説は基本しない(例外あり)

あくまで技術・動作原理にフォーカスした本なので、これらは省いているとのこと。但し、第5巻「誘導兵器」だけは例外的に世界のあらゆる兵器の情報を集めて載せる予定だそうです。

・系統的・網羅的に解説する

世の中にある文献(論文・書籍・特許)をくまなく探せば、兵器に関する技術情報は見つかるそうです。

多田先生
「ただ、それを1冊にまとめた本がなかった。そこで、本シリーズは、例えば 第1巻の『弾道弾』なら、その本を読んだら弾道弾に関するひと通りの技術が分かるように書かれているのがポイントです。」

また、多田先生の一般向けの講義を受けたり本を読んだろしたことがある人は分かると思うのですが、物理学の予備知識が乏しくても、基礎から出発して論理的に飛躍することなく解説してくれるので、途中で挫折することなく安心して読み進められます。物理学の基礎からその兵器の動作原理まで各テーマとも1冊あれば大丈夫!

・教科書と読み物の間を目指す

教科書ほど固くなく、読み物よりも技術について具体的に解説しているとのこと。数式を付録にまとめたこともあり本文は縦書きを採用。

・読者の皆さんと一緒に学ぶ

多田さん
「僕はこのシリーズ本の中で取り扱う全ての分野で専門家というワケでないので、皆さんに教えるというよりは、一緒に学ぶというスタンスで書いてます!」

 


 

『兵器の科学』シリーズの概要紹介(第2巻~第5巻)

 

多田さんによると、この日予約を受け付けていた 第1巻『弾道弾』 は本文を書き終えてグラフも作成済み。残る図面やイラストの完成作業を頑張っているところだそうです。第2巻以降については、第5巻までは既に章立てまで決まっているとのことでした。本イベントの前半の部では、その章立てを元に 第2巻から第5巻までの概要を紹介してくれました。例えば、

第2巻『生物化学兵器』について…。

 

兵器の科学シリーズ・2
『生物化学兵器』の目次
(クリック or タップで拡大表示)
「生物化学兵器」編の目次

 

生物化学兵器についての話題は 『ミリタリーテクノロジーの物理学』 の第13回講演(私も聴講しました)で登場しましたが、そこでは触れられなかった 嘔吐剤・催涙剤・無力化剤などの化学兵器についての解説も追加されるようです。。

多田さん
「本書で取り扱う化学兵器(Chemical Agent)ついては、実際の化学式製造方法(化学反応式)を全て載せる予定です。あとは化学兵器がどうのように人間を死に至らしめるのか(作用機序)や対処法、つまり除染の仕方や救護・手当の方法なども全部載っています。」

テリーP
「多田さん、コロナでしばらく会っていないうちにまたパワーアップしましたね…(汗)」

客席(笑)

 

最近、世界をザワつかせた
かの事件で使われた
”おそロシア” な猛毒神経剤
「ノヴィチョク」の化学式もこの通り…!

化学式などを掲載

 

作用機序の解説図。
「神経回路が繋がりっぱなしになって
筋肉が制御できなくなる」等、

怖い解説がサラリと書かれている(汗)

化学兵器の作用機序

 

化学兵器のところで個人的に興味深く感じたのは「使用方法」でした。

多田先生
「その薬剤をどうやって相手に投射するかという話ですね。これが達成できて初めて化学薬品が化学兵器になるワケです。迫撃砲とかエアロゾルとか航空機からの散布とか紹介していますが、手榴弾なんてもあります。これはかつての日本軍が使っていたんですね。陶器製の入れ物に入れて投げた先で割れるようにしていました。」

 

実戦での ”使用例” も掲載
(クリック or タップで拡大)

実際に使われた例も掲載

 

戦争での使用例はもちろん、テロ鎮圧部隊が非殺傷のはずの無力化剤を使ったら人質に多数の死者が出てしまったというドゥブロフカ劇場テロ事件や、第二次大戦中にイタリアの基地バーリ港に停泊していたアメリカの輸送船がドイツ軍の空爆を受けて積んでいたイペリットが漏出してしまった事故など、特殊な例もリストされています。特殊な例と言えば…、

テリーP
「オウム真理教テロ、金正男暗殺事件…なんてのも載っているんですね…。」

多田さん
「化学兵器は昔は戦争で使われていましたが、近年は戦争では使われずに暗殺に使われることが多いです。少量で持ち運びが楽で、目的の人間だけど攻撃できますからね。傘の柄の部分に仕込まれていたりしますから、皆さん、満員電車の中で隣の人の傘がぶつかったらビクッしなきゃダメですよ!」

客席:(苦笑)

 

開発拠点も地図付きで紹介
こちらは生物兵器の紹介。
(クリック or タップで拡大)
生物兵器の開発拠点

 

生物兵器は「感染症(もともと存在している細菌やウィルスを撒く)」と「生物由来の毒」に大別されるそうですが、やはりこのコロナ禍なので不謹慎ながら(毒性は全く異なりますが)「感染症」に関する各章はじっくり読んでみたいところ。炭疽・ペスト・野兎病・天然痘・ヴィールス性出血熱などが解説されるようです。天然痘は1970年代に根絶したはずですが生物兵器として今も残っているのでしょうか? …そんな話も気になります。

多田さん
「感染症の話ついでにひとこと。新型コロナウィルスで最近はそれほどでもなくなりましたが、ちょっと前はテレビをつければアナウンサーやコメンテーターや 『PCR検査をやれ!』『PCR検査をやれ!』とやたらうるさかったですね。でも彼らはちゃんとPCR検査がどういうものかを分かってそう言っているのでしょうか? 全員がとは言いませんが中には PCR検査がどういうものか、そもそもPCRが何の略も分からずに使っていたり人も結構いるんじゃないかと。Polymerase Chain Reactionの略ですからね。僕はキーワード主義と呼んでいるのですが、意味すら分かっていないのにやたら専門用語を使いたがる。こんなことも『兵器の科学』シリーズ全体の序文で色々ディスっています!」

客席(笑)

なるほど、本文だけでなく序文を読むのも楽しみになりました。私たちが軍事技術の話をする時は、多田さんの本を読んできちんと理解した上で専門用語を使うようにしたいものです(汗)。

以上のような感じで、第2巻から第5巻まで ”目次ベース” ですが、多田さんより内容が紹介されていきました。本記事では第3~5巻の概要紹介の部分は割愛していますが、気になる方もいると思いますので、下に各巻の章立てだけ載せておきます。

 

第3巻「レーダーと電子戦」
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第4巻「エンジン」
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第5巻「誘導兵器」の目次。
(クリック orタップで拡大)
誘導兵器の内容
『兵器の科学』シリーズでは
兵器個別の解説はしない方針ですが
例外的にこの第5巻だけは世界中の
あらゆるミサイルを集めて解説している。

 

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