2夜連続!不動産ナイトと伝説の間取り図ナイト緊急復活開催!『帰ってきた間取り図ナイト~渋谷で爆笑ヘンな間取り図祭り』ライブレポート(20.07/10開催)
2020年11月24日
続いて、間取り図の作図方法について。
森岡さん
「大家さんが壁の厚みを表現しようと一生懸命に斜線を入れているところとか、玄関の土間を表現しようとブツブツを描き入れている場面とかを想像してみてください。もう愛おしくて仕方ないですよね!?」
特筆すべき点は引き戸や引き窓がどちら手前なのかが分かる描き方をしているところでしょうか。
上の4つの間取り図は別々に掲載されていたものだそうで、見ての通り作風が一緒。即ち同じ作者が異なる4つの物件について作図したものです。「あっ! この前見た間取り図と同じ作者だ!」なんて分かるようになると、一層の愛着が湧いてきます。この一連の間取り図が用いている独特の立体化手法も見事です。
同じ立体化でも
盛大に失敗してしまったケース
(これは酷い…)
横山店長
「時空が歪んでますね…。」
森岡さんによればこの間取り図は ”優しさの塊”なのだとか。
森岡さん
「よく見てもらうと分かると思うのですが、台所の窓を開けるとお風呂の窓が閉まるという特殊な構造をしている物件なんです。それを伝えるがために(結果、大失敗してしまったものの)わざわざ立体化を試みてくれたんですね。」
”立体系間取り図” でもうひとネタ。
間取り図に ”立体化した部屋の使用イメージ” を描き入れてしまったもの。この発想は全くなかったです。描いた人、素晴らしいですね。
ここからは ”フォント” 違いによる間取り図の印象について。例えば、若い女性をターゲットにした物件などでは可愛らしいフォントを使うとウケが良いようです。(もっとも実際の物件が可愛らしいかどうかは別問題ですが…)
間取り図ナイトでは毎回恒例の定番ネタですが、確かにそれっぽい。(なぜこのフォントにした!?)
横山店長
「これ、間取り図ナイトが始まった頃からずっと話題になっていますが、僕は未だに西原先生本人が描いたものじゃないかと思う時があります。」
森岡さん
「西原さんはよく潜入取材と化していたから不動産屋に潜入していたのかも?」
横山店長
「同じ高知県の出身で高校の後輩なので、いつか本人に聞いて確かめたいと思います!」
表記問題~伝わるか、伝わらないか
間取り図には、様々な略称や記号が書き記されます。しかし、これら表記方法についてもやはり決まったルールがあるワケではなく(もちろん不動産業界内の各所でガイドライン的なものは作られてはいますが)、しばしば「そのアルファベットの略称や記号はいったい何を意味しているの!?」と首をかしげてしまう事態に見舞われます。
まず略称問題から。例えば 「L・D・K」 はそれぞれ リビング・ダイニング・キッチン の略です。「WIC」はウォークインクローゼット、「MB」はメーターボックス、「PS」はパイプスペース…。
では、「S」は?
横幅が階段より狭いのでこの場合は収納を表す「S」でしょうか? しかし、奥の方に入れた物が簡単には取り出せそうになく、収納スペースとして使用するには非常に不便なように思えます。実はこの物件以外にも細長い「S」が登場する間取り図が複数紹介されました。
森岡さん
「僕らが知らないだけで世の中には何か細長いものを置いておかないといけないご家庭が沢山あるということですかね? 物干し竿、釣り竿ぐらいしか思い浮かびませんけど…。」
さて、ここからどんどん難解に…。「J」はなんの略でしょう?
近年、日本に住んでいる外国人も非常に増えましたが、彼らに「和室」はどのように伝えるのでしょう? この間取り図では「Japanese-style Room」を略して「J Room」なのでしょうか? また広さを伝えるのに6帖を6Jと表記していますが、この 「J」 同士の違いを外国の方が理解できるは非常に難しいように思えます。
この間取り図がさらに難解なのは 「和室」と「J-Room」がまた別物であるという点。
森岡さん
「床が畳じゃないから洋室と思いますよね? でもこれは洋室ではないんです。だから紛れもなく『J Room』。その理由が分かる人いますか?」
客席
「長押(なげし)がある!」
森岡さん
「正解です!今日はカタギじゃないお客さんがいらっしゃっているようで(笑)」
長押は日本建築に見られる柱を水平方向につなぐもの横木で、今では形式的なものになっている場合も多いそうですが、尺貫法で家を建てていた時代の名残。畳はないけれど ”和の部屋” ということで『J Room』としたようです。
ここで素朴な疑問、「洋室」 はなんと表現するでしょう?
洋室を「Western Room」と表記するのは40年ほど前にほんの一瞬だけ流行ったそうです。
森岡さん
「しかし、誰かが『それって西側の部屋じゃね?』と冷静なツッコミを入れたらしく、すぐに使われなくなってしまったみたいです(笑)」
しかし、東北や北海道の一部では「Western Room」と呼ぶ地域が残っているそうです。