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【 イベントレポート 】

水族館プロデューサー中村元 presents 『中村元の超水族館ナイト2021春 〜ヒレアシ語を話せる素質〜(vol.38)』ライブレポート(21.02/27開催)

2021年05月28日

4.アシカが多くのことを教えてくれた

 

中村さんが行ったアシカショーはトレーナーがドジを踏むことで、より印象深くアシカの能力を伝える演出でしたが、中村さんが実は3頭の個性をうまく組み合わせてショーに活かしていたことにも注目です。

中村さん
「昔はショーをするなら『アシカでないとダメ! オットセイは使えない! 』って言われていたのね。」

テリーP
「えっ、それはなぜですか?」

中村さん
「機敏さが全然違う。僕がトレーナーだった頃は高くジャンプができるアシカが偉くて、ジャンプ力がないオットセイはドンくさい奴として敬遠されていた。ジャンプはショーの中で一番見映えのする花形種目やからね。」

テリーP
「なるほど。人間も小学生の頃とか、足の速い子や運動神経の良い子がクラスでモテてましたからね。」

中村さん
「そう! それと全く同じ! だけど(大人が創る)水族館の考え方が小学生と同じレベルでいいのかって話や!」

 

ショーに個性を活かそう
テリーPと中村さんの二人喋り

 

子ども時代の中村さんはとても駆け足が遅かったそうで、それがコンプレックスとなって時期もあったとか。

中村さん
「でも、ある時、足が遅いのを上手に使ったらウケが取れて人気者になれるということに気づいたんです。 だからオットセイだって人気者になれる。アシカのように速くて高いジャンプができないのなら、また別の特技を持たせてあげればええんちゃうか?…って。」

中村さんはカリフォルニアアシカで体も小さく俊敏なロンにジャンプの見せ場を任せました。そしてミナミアフリカオットセイの2頭、ちょっと覚えが悪いけれど習得した技は堅実のこなすゴンタには失敗なく披露したい定番技を、賢くて(でも飽きっぽい)サンタとは色々な新技を開発していったそうです。

中村さん
「鳥羽水族館のアシカショーを見たことある人ってどれぐらいいる? ”アシカが自分でボールを高く投げ上げて鼻でキャッチする技” があるんやけど覚えている人いるかな? アレを開発したのは僕なんです! そう、 サンタと一緒にやりました。」

ひとことに ”アシカの仲間” と言っても色々な種類(カリフォルニアアシカ、オタリア、オーストラリアアシカ、ミナミアフリカオットセイ、ミナミアメリカオットセイ…など)がいて、それぞれにベースとなる性格が異なります。それはその種の運動能力や生息地の環境、性別、繁殖戦略など様々な要素に因るものと考えられますが、

中村さん
「その上で同じ種類の動物の中でも1頭1頭ちゃんと個性があるのが面白い!」

自信満々で好奇心旺盛な ジャイアン もいれば、常に計算し賢く立ち振る舞う 出木杉くん も、臆病で何もしたくないけれど一人でいるのも怖いので一番後ろに隠れながらついていく のび太くん もいる。アシカのトレーニングにおいては、それぞれの個性に合わせて好きなものや得意なものを見つけてあげる作業がとても大事になってくる。

テリー
「なるほど。個別指導するんですね。」

個性の異なるアシカと日々向き合う中で、沢山の学びや気づきがあったそうで、「本当に色々なことをアシカから教わった気がする」と中村さん。それは現在の仕事にも活かされているとのこと。

中村さん
「仕事の依頼を受けて、ある水族館に行って知らない組織の人たちの前で社長やオーナーから『こちらが水族館プロデューサーじゃ!この人と一緒に新しい水族館を作るんじゃ!』と紹介される。その水族館で働いているスタッフたちは当然反発するよね。急に外から来た人に展示プロデュースを任せますなんて言われたら『嫌だ!』『何様!?』と思うに決まっとるやん。 最初は誰も僕のことを認めてはくれないんです。そんな時に鍵となるのがその組織の中にロンやサンタやゴンタをいかに見つけられるかだったりします。」

組織の中で浮いてしまっていたり、何かしらのレッテルを貼られて活躍の場を失っていたりするけれど、一生懸命でよく勉強している。そういった人を見つけて一緒にまず一つ新しい展示の開発を成功させる。それできると物事がうまく回り始めるのだとか。

僅か3年という期限付きのアシカトレーナーであっても、中村さんにとっては ”人生はアシカから学んだ” と言えるほど貴重な経験だったようです。

 

アシカに学ぶ人生論。
中村さんのトークに聞き入る。

中村さんのトークに聞き入る

 


 

5.ヒレアシ語は話せる素質とは

 

『ヒレアシ語』と表現していますが、そういった ”言語” や ”言葉” があるわけではありません。アシカも鳴き声をあげますがイルカのような音声コミュニケーションにもほど遠いようです。

そのような中で、中村さんは「噛まないで」の張り手に始まって、輪っかを怖がるロンに「輪は怖くないよ」と伝えるためにホースを加工する工夫をしたり、餌を食べないサンタに「怖くないよ、餌を食べてね」と匍匐前進で近づいてみたり、彼らの様子を一生懸命に観察し、あの手この手で意思疎通を図り続けました。この 愛情と忍耐 ”ヒレアシ語を話せる素質” ということになるのではないでしょうか?

ところで、中村さんが40年近くも遡って自身のトレーナー時代の話をしたのは、現代ではトレーニング方法が大きく進歩していて、昔の「調教師」時代のやり方とは大きく違っていることに着目して欲しかったからだそうで、とりわけ伊勢シーパラダイスのトレーニングは先鋭的なものなのだという。

中村さん
「伊勢シーのトレーナーは本当にヒレアシ語という言語があって、それをマスターして会話しているんじゃないかというぐらい動物たちと心が通じています。」

第二部ではいよいよ 伊勢シーパラダイス田村龍太 館長 が登壇します。

それに先立って 「伊勢シーパラダイス がどんな水族館なのか?」 について、中村さんが写真スライドを映しながら紹介してくれました。(もっとも客席にいたお客さんの8~9割は既に伊勢シーを訪問歴があったという:笑)

 


 

6.伊勢シー入門 ~ 柵なし展示とは

 

伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス(伊勢シーパラダイス)は、三重県伊勢市二見町にある水族館。言葉は悪いのですがパッと見の印象は ”昭和感漂う貧乏水族館” といったところ。しかし、そこで行われている展示は他の追随を許さない圧倒的なものとなっています。目玉はなんといってもお客さんがいる広場に海獣たちがやって来る ”柵なし展示” です。 施設的に大型の海獣たちがパフォーマンスを披露できるショーステージがないのですが、それなら普通の広場をステージ代わりにしてしまおうという発想。伊勢シーパラダイスが世界で初めて考え出した究極の展示方法です。

 

お客さんのいる広場に出てきた
トドの小鉄くん
小鉄くん

 

この距離感である
お客さんとゼロ距離な柵なし展示

 

セイウチが巨体を揺すって登場!
お触りや一緒に記念撮影もOK!
セイウチにも間近に会える

 

闘魂注入で厄払い!
闘魂注入

 

テリーP
「ええっー!? これってどうみても事件じゃないですか!?」

中村さん
「『闘魂注入!』と言って、選ばれたお客さんがセイウチの大きなヒレアシで背中をバシッと叩いてもらえる。お伊勢さんやからね、厄払いや!」

テリーP
「なるほど。猪木のビンタ的な。 」

中村さん
「強く入った時は叩かれたお客さんが仰け反ってビューンと前に飛んでいく(笑)。もしオレがここの社長やったら絶対やらせんな。何かあったら怖いもん。」

でもご安心ください。これまでに事故等は全くないそうです。このことからも伊勢シーパラダイスのアシカトレーナーの技術の高さが伺えます。

 

アザラシもこの通り。
まさに距離感ゼロのふれあい。
ふれあいというレベルではないアザラシ

 

昭和レトロなアシカのショープール
レトロなアシカプール

 

令和の時代になってもプールの底がタイル張りなのも驚きですが(笑)、それよりアシカとお客さんの距離に注目!

 

近い!! ショーも ”柵なし” です。
ショーも柵なし

 

イルカとキャッチボール!?
お客さんとキャッチボールをするイルカ

 

中村さん
「イルカがお客さんを見つけるとボール咥えてポイッと投げてくるんです。お客さんがキョトンとしていると、イルカが『はよコッチに投げ返すんじゃ、アホ』みたいな顔をして待っとんのよ!(笑)」

お客さんボールを投げ返すとイルカがまた投げてくる。こうしてイルカがお客さんとキャッチボールをして遊びます。

中村さん
「但し、投げるのが下手なお客さんだったりすると、イルカが怒って 『もうお前とは遊ばんわ』 と一人で壁打ちを始めます。コレ、面白いと思わん?」

 

こんなふうに(驚)
ボールを壁打ちするイルカ

 

このような伊勢シーパラダイスならではの驚きと感動を求めて、全国から海獣ファンが詰めかけています。

 

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