黒沢健一ライブレポート&インタビュー(Vol.2)~祝!08/12/27カルカルライブ盛会+7年振りのアルバム「Focus」リリース!!
2009年03月03日
2008年年末、12月27日に
東京カルチャーカルチャーでライブをした黒沢健一さんが、
たっぷりとお話を聞かせてくれました。
3月4日には、7年振りのニューアルバムとなる
「Focus」をリリースします。
L⇔R(エルアール)をはじめとする数々のバンド、
ユニットでキャリアを積み重ねてきた
百戦錬磨のシンガー・黒沢健一さんの語る、
ライブの話、新譜の話、そして音楽の話を、
どうぞお楽しみ下さい。
「間取り図ナイト」とかをやってる中で
パーティ形式でライブしたら、どうなるんだろうって(笑)。
―― まずは、
東京カルチャーカルチャー(以下カルカル)での
ライブ、お疲れ様でした。
黒沢健一(以下黒沢):どうも、ありがとうございます。
―― 去年の12/27のカルカルでのライブは、
いかがでしたか?
黒沢:そうですね……
カルカルライブはもう2回目なんで……
そもそもの話をしていいでしょうか(笑)?
―― はい(笑)。
黒沢:……僕、カルカルの横山シンスケ店長が
新宿歌舞伎町のロフトプラスワンにいたときに
音楽評論家の萩原健太さんと、
健’zっていうユニットのイベントやってて。
非常にお世話になってたんです。
それで一昨年、シンスケさんから
「ニフティで新しい店はじめたんだ!
ライブやらない?」って連絡あって。
それでお台場まで一昨年の年末に見にいってみたら、
ロフトプラスワンと全然違って、
観覧車の真下の店だし、
ガラスばりだし、厨房のシェフが
料理のフランベしてるからびっくりしちゃって(笑)。
スケジュールで他のイベントをみたら
「間取り図ナイト」とかだし。
―― はい(笑)。
黒沢:音楽のライブが出来る環境かどうかの
下見っていう名目でお店に行ったのに、
昼間からいきなりビール出されて
うちのマネージャーに、
「周りはどう思ってるか知らないけど、
俺は黒沢と友達だと思ってるんだよ」とか
言って脅すし(笑)
―― 本当にすみません(笑)。
黒沢:(笑)いや、それで、逆に面白くなっちゃたんですよ。
シンスケさんも新しいことやってるし、
俺もソロ5年ぶりだし、新しいことやりたいなって。
そういう瞬間を一緒に楽しみたかったんですね。
「間取り図ナイト」とかをやってる中で
パーティ形式でライブしたら、どうなるんだろうって(笑)。
それで……
一昨年から今年にかけてやっていた僕のライブが
“LIVE without electricity(電気のないライブ)”
……っていうツアー名で。
要は、アコースティックギターとピアノでやれるだけやる、
停電になっても音が届くっていう、原始的なライブだったんですね。
その延長で、カルカルでもアコースティックライブしまして。
楽しかったですね。
―― その“ピアノとギターの原始的な弾き語りツアー”は、
一昨年と、昨年にも行われましたね。
ミュージシャンとして、そこから持ち帰ってきたものは、
何かあったんでしょうか?
黒沢:“LIVE without electricity”っていうのは、
曲は素材であって、どう変わるかわからないっていう、
ものすごい自由度があるライブなんですね。
CDの音源を再現するわけではないので。
だからそこでお客さんが喜んでくれるかっていう
不安がすごいあって。
―― それは意外ですね。
健一さんくらいのキャリアの方でも不安だったんですか?
黒沢:アコースティックライブは、ごまかしがきかないですから。
ところが、はじまってきたらとても好評で。
5年ぶりなのに、たとえば渋谷のDUOでね、
チケットが売り切れて。満員に埋まったんですね。
即日で完売して。ピアノとギターだけなのに……。
―― はい。
黒沢:それが、すごい嬉しくて。
すごくいいステージができたっていう自負もあって。
その緊張感がすごい忘れられなくて、
もういっぺんツアーをやったら、
またお客さんがいっぱいきてくれまして。
自由にやった結果をお客さんが
支持してくれるっていう事実が、すごく自信になったんです。
「ソロアーティストとして、僕はみなさんに何かを届けられるな」
……っていう自信がつきましたね。
それに、新曲を待ってくださってるのを実感しました、
お客さんの顔をみてわかったんです。
―― なるほど、それが3月にリリースされる
新譜づくりのモチベーションになったんですね。
黒沢:はい。それが7年ぶりのソロアルバムで。
……実は、ちょくちょくと曲は書いてたんですよ。
ストックも、6、70曲ありました。
ただ、いつ発表しようかとか、その辺あいまいだったんですよね。
アルバムとしてのまとまりが、どうもその時点まで見えてなくて。
―― はい。
「あいまいなことっていうのは真実なんだ」ってわかってきたんです。
黒沢:だけどライブをやってくうちに、
……あの……これは、新しいアルバムの
タイトルにもなってるんですけど、
“フォーカス(焦点)”があってきたんです。
これは感覚的なものなんだけど……
たとえば2年くらい前につくって置いておいた
曲をライブになって実際やってくうちに、
「これは作品を発表すべきだろう」って思ったんです。
フォーカスが実感と共にあってきたというか。
―― 「フォーカス(Focus)」を新譜のタイトルに
しようというアイディアは、7年ぶりのソロアルバムを
まとめあげる中で出てきたものですか?
黒沢:そうですね。
あの、言葉じゃいえないあいまいなものっていうのが、
自分の中でやっぱりずっとあって。
……それを伝えたいからずっと音楽を
やってんだと思うんですけど。
だけど、なんというか、言葉で言い切ることが
大事で、その方が市民権や効力を得るということが
現実社会はあるわけですよね。
具体的な言葉とか、数字とか。
―― うーん……まして、こういうご時世ですからね……。
黒沢:だけどそういう具体的なものに対抗できる
音楽の世界っていうのは、
言葉にはならない、なんだかわからない
フィーリングに、もっと心をオープンに
していくものだとだと思うんです。
“言葉で伝えられるもの”も真実だけど、
“言葉で伝えられないあいまいなもの”も真実だし。
その二面性が社会の中にはあって、
バランスがとれてくるといいといつも思ってるんですけど。
―― はい。非常に分かります。
黒沢:だけど、僕の中でここのところ、
音楽……つまり、言葉にできないものが
ばんばん言葉に負けちゃってる気がしてて。
たぶん、ここ数年ソロをやろうとした時に
フォーカスがあわなかったのも、
だからかなって思ったんだけど……
だけど40歳になって、ふと思ったら、
「あいまいなことっていうのは真実なんだ」ってことが、
体でわかったというか……。
―― 「あいまいなことが真実」……なるほど。
黒沢:はい。
「言葉にできないこと」というのが絶対にあって、
それがあるからこそ、音楽は形になるんだというのが
腹にはいってきて。
だから「非常に感覚的なものにオープンになろうって」意味で
“フォーカス”という言葉がでてきたんですね。
―― なるほど。
それは、健一さんの今までの音楽活動にもっていた
価値観とは違う部分なんでしょうか?
黒沢:違いますね。
僕には、ソロデビューした当時……
というか、ソロになるまでに活動してた
L⇔R(エルアール)の頃からそうですけど、
「自分の脳に直接ジャックをつないで
音楽をだせたら絶対に面白い」
……っていう確信があったんです。
それで、頭の中を再現するように
周りのミュージシャンの方の力を借りつつ
音楽を作ってきてたんですよね。
それは、3枚目のソロアルバムの「NEW VOICES」まで
やったんですが、3枚ソロアルバムを作って
非常に納得しまして。
「ああ、自分の頭の中になってるサウンドは
こういうものなんだ」と。
―― はい。
黒沢:……で、それからいろんな人とバンドをやったんです。
やってみるとですね、自分の頭の中に鳴っていない音がくると、
意外とこう、逆にエキサイティングだってことに気づいたんです。
要するに、極論言っちゃうと、頭の中で鳴っている音が
そのまま再現されるということはある意味幸せなんですけど、
意外性はないんですよね。
―― はい。
黒沢:結果的にそれは自分の中のエゴでしかないっていうか。
……周りが驚いても、自分は驚かないんですよ。
けど、プロデュースとか作曲だとかいろんな音楽の
仕事をしてると、「まとめる」という作業をするのが
一番重要な任務だったりもするので、
曲を作った瞬間に頭の中に拡がった音像を
具体化するだけって作業になっちゃって。
黒沢:だから、他人に自分をコーディネートしてもらって
どう転がるかは……(インタビューの続きを読む)
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