Ustream中継で1,000人以上同時にネットでもライブを体感&曲リクエスト!ネットとリアル両方参加の画期的型かつ実験的リクエストライブ!『Wyolica“Castle of wind”リリースパーティ』ライブレポート(10.9/29開催)
2010年10月24日
表現豊かなボーカル、サウンドにも定評あり、
結成13年目を迎えなお進化する音楽ユニット「Wyolica(ワイヨリカ)」の
新しい挑戦が、9/29、お台場で行われました。
Wyolica
どんな挑戦かというと、
多くのミュージシャンも活用し、音楽業界でも話題を振りまいている
動画配信サービス「Ustream」。
このUstreamを使って、ネットとリアルをつなぐ店
「東京カルチャーカルチャー」で、Ustream×ツイッター連動の
音楽ライブをしよう!という挑戦です……。
発案したのは、ツイッター使いとしても知られ
ファンや他のミュージシャンと積極的にネットで
交流をはかっている、Azumiさん。
(https://twitter.com/azumiwyolica)
Azumiさん「一度ね、ツイッターに【Ustreamライブやろうかな?】って
書いたんです。そしたらね、【やって!】ってものすごい返信がきて。
これは、いつかやらなきゃなと思いまして。」
そんなツイッター上での「事件」以来機会をうかがっていたところ、
ついにやってきました。ニューアルバム「Castle of wind」のリリース!
そのリリースパーティをUstream配信しようというプロジェクトが始まりました。
ツイッターで演奏曲のリクエストを受け付ける、実験的なアコースティック
ライブです。
珍しい、会場を借り切って観客を入れてのUstreamライブ。
いったい、どうなったのでしょう……?
ライブの模様を、リアルタイムでネット配信します!
生の醍醐味?早速のハプニングからライブはスタート!
いよいよオープンです。会場は120人のファンで埋まりました。
歴史的なUstream連携ライブ。早くもケータイを使って、
自分が聞きたい曲のタイトルを書き込んでいます。
Ustreamでも、100名以上の、会場に来られなかったファンが
今か今かと放送開始を待ち構えています。
想像以上の盛り上がりに、
楽屋で「どうなるんだろう……緊張する……」と
Azumiさんもこの日ギターを担当するSO-TOさんも漏らしています。
20時、Ustream放送スタート。当然会場でも、ライブが始まります。
1曲目に選んだのは、新譜「Castle of Wind」より、
「明日へのノクターン」。アコースティック編成だから、
Azumiさんの歌声がダイレクトに響いてきます。
続いても新譜から「恋する女子に捧げたいと思える1曲です」と
「月夜に咲いた恋」。客席は静かに聞き入ります。
「次の曲も…恋する女の子に捧げたいかな」というMCではじまった
「逢いたいから」演奏中にちょっとしたアクシデントが発生します。
なんと歌詞を間違えて、演奏仕切りなおし!
「……間違ったあ!」苦笑するAzumiさん。
思わず「禁じられた遊び」を爪弾くSO-TOさん。
「今の忘れて!」と演奏をやり直す中、ツイッター上では
「これも生の醍醐味!」と会場の内外から書き込みがされていました。
間違っちゃった…と苦笑するAzumiさん。
しかし逆に緊張がほぐれた様子でした。
前代未聞、大興奮の「リクエスト生ライブ」!
アルバムの曲を弾いた後はいよいよリクエストタイム。
はい注目ですよ!
この棒を、こんな風に使ってスクリーンを下ろすと…
ツイッターに書き込まれてたリクエストメッセージが!!
Azumiさん自ら、ステージのディスプレイを下ろすと、
ライブを観ている方からの多数のツイッターの書き込みが
映し出されます。
「Azumiちゃんかわいい!だって!」と大喜びのAzumiさん。
このリクエストから曲を選んで、次々と演奏していきます。
なんとこの日のために、レパートリーを全曲演奏してきたそう。
どんな曲でも来い!とばかりに、1stアルバムの曲や
カップリング曲など、レアな曲も演奏されました。
リクエストを背にして歌う。あまり音楽ライブで観られない光景です。
「すごいね。これはもっともっとやりたくなるね!」とAzumiさん。
乗り乗りで選曲し、矢継ぎ早にメドレーを作って歌いこなします。
ところがここでもハプニングが!
楽譜を探す。探す。探す…。
全曲練習してきたとはいえ、そこは13年間のキャリアの中で
数多くのレパートリーを持つWyolica。最近演奏していない
曲のリクエストに出くわして、演奏中に楽譜を探しはじめました。
めったに観ることのできない光景に会場は笑いで沸きあがりましたが、
このすぐ後、ステージを固唾を呑んで見守ることになります。
先に譜面をめくり終えたAzumiさんが、 まだ譜面を探してるSO-TOさんを
他所に、アカペラで曲を歌い始めたからです。
この歌唱が、また圧巻。
カルチャーカルチャーの高い天井に、Azumiさんの声だけが
ふわっと響き渡りました。
アカペラでも成立してしまう、それがWyolicaの曲と、ボーカルの魅力です。
そんなハプニングも交えつつも、会場はどんどんあったまっていきます。
ハンドクラップが自然と発生したり、歌を口ずさみながらステージを
眺める人がいたり。MCの最中、ツイッターを使うのもまどろっこしくて、
直接ステージに曲をリクエストする人が続出したり。
会場とステージとの対話で、会は暖かく進行していきました。
「ずっとやっていたいね…」
そう名残惜しく語りながら、最後の曲に選んだのは「ありがとう」。
会場や、Ustreamを見ているすべての人にささげる選曲です。
ツイッターでも「ありがとう!」という声がたくさん書き込まれ、
その無数の「ありがとう」が後ろのスクリーンに点ります。
ありがとう!
手を振るAzumiさん。しかしすっかりあったまった会場がおとなしく
Wyolicaを帰すはずもなく、アンコールの嵐が会場とツイッター上に
巻き起こります。
再び登場したAzumiさんとSO-TOさんが選んだ曲は
代表曲「さあいこう」。
「みんなも、一緒に歌ってください!」
Azumiさんの声に反応して、1人、また1人と歌う人が増え、
最後は会場中が、ゴスペルコンサートのような大合唱となっていました。
きっと、全国のパソコンの前でも大合唱だったことでしょう。
涙を流しながら歌っているお客さんも多数。会場はえもいわれぬ
一体感に包まれていました。
「歌って!聞こえないよ!もっと!」とマイクを客席に向け耳をすますAzumiさん。
「さあいこう」が終わっても更に巻き起こるダブルアンコール。
「みんな、飲んだか、食ったか?聴いたか!?」
Azumiさんのコールに歓声が答えます。そして終曲は「風をあつめて」
この曲はUstreamには流れませんでした。
Wyolicaから、お台場まで足を運んでくれたお客さんへのプレゼントです。
風をあつめて、を見事に歌い上げ、会を締めました。「どうもありがとう!」拍手の波は止まりません!
Ustreamライブは、国境を超える!?
Wyolicaによる実験は、間違いなく、大成功でした。
ツイッターの書き込みや会場のお客さんの笑顔、
何より、終演後のWyolicaのお2人の弾けんばかりの
笑顔がそれを証明していました。
その場でお客さんと視聴者とステージがセットリストを
決めるという音楽ライブとしては異色の「参加型」ライブ。
120人の会場のお客さん、のべ1,000人以上のパソコンなどの
前のお客さんが、ライブをリアルタイムで見守り、
ライブに参加しました。
かつて「国境がない世界を想像してごらん」と歌った
有名なミュージシャンがいました。
まだまだ国境はなくなっていませんが、
この日のWyolicaの音楽はネットを通じて、
ライブ会場の壁を越え、海を越え山を超え、
あるいは国境を越えて、たくさんのリスナーの心に届き、
音楽を聴いている人々の心をひとつにしたように思います。
まだ世界は1つになっていないし、悲しいニュースもたくさんあります。
けど、Wyolicaの音楽がたくさんの、会場の内外の人の心を1つに
したことが、世界がちょっとだけ幸せになる、大きなヒントになる
そんな気がしました。
ちょっと大げさかもしれませんが。本当にそう思えたんです。
素晴らしいライブって、そういう力を持っていると、心から思うんです。
ありがとう!Wyolica!
(河原あず/東京カルチャーカルチャー)