『ヨーロッパ企画の第7回ショートショートムービーフェスティバル~SF映画大会・一般応募作品予選会』ライブレポート:年に一度の超楽しい超短編映画祭!今年はSF大会だ!(11.5/21開催)
2011年06月09日
年に1度の映画祭が今年もやってきました。
カルカルでお馴染みの京都の劇団「ヨーロッパ企画」が主催する
短編映画の祭典「ショートショートムービーフェスティバル」。
(以下SSMFと記載させていただきます。長いので。)
これまで数々の名作や迷作を送り出してきたこの祭典が
装い新たに今年もやってきました。
去年までとは異なるルールで開催される第7回大会。
カルカルで開催される一般予選を勝ち抜いて
本戦にコマを進めるのはどの作品なのか。
笑いあり涙ありの一般予選会の模様をレポートします!!
はっじまるよー!
昨年までのSSMFは、以下のようなルールで行われていました。
・5分以内の映像であること。
・作品タイトルは、運営委員会が指定した共通タイトルとすること。
(※第4回は「黄金」、第5回は「ゴ」、第6回は「ロック」という共通タイトルでした。)
上記ルールが今年から改められ、以下のような感じになりました。
・5分以内の映像であること。
・第7回大会は、運営委員会が指定したジャンル「SF映画」であること。
タイトル縛りではなく、ジャンル縛りとなったわけです。
しかも5分という超短時間で「SF映画」という難題に挑戦する監督たち。
本日の司会と審査はこちらの方々。
(写真左から)
司会はSSMF運営委員長の中川さん
審査員は
ヨーロッパ企画主宰の上田さん
映画監督の筧さん
アスミック・エースの竹内さん
のお三方です。
審査は、お客さんと審査員の方々の投票によって行われます。
一人あたり2つの作品に投票し、得票の多かった上位2作品が本戦に進むことが出来ます。
なお、審査員の方々の1票は、3票分としてカウントされます。
審査員票を多く集めることも重要なポイントですね。
ちなみに、こちらが投票用紙。
運営委員のミスで枠が1つしかありませんが、
2作品に投票するシステムです。
「1作品にしか投票しないと無効票となるトラップです!」と上田さん。
審査するお客さんにトラップを仕掛ける映画祭です。
今回、一般予選会で上映されたのは事前審査を通った12作品。
それらの作品に対する審査員の方々のコメントも併せて、一気に紹介します!
(なお、上映順は監督名の五十音順になっています。)
青色三号監督
タイトル「カスタマイズドハニー」
自分好みに恋人を育て上げるゲームの話
審査員コメント
筧さん:
設定紹介に終始してしまった感じがもったいない。
設定紹介を言葉でやってしまうと、映像が流されてしまうので
映像使って何か強烈なエピソードとかでやるのが良いかも。
竹内さん:
5分でSFってっ難しいですね。
情報処理能力が試される感じ。
見る人の持っている経験を記号化していくと良いと思う。
宇宙の隙間監督
タイトル「なんてことは全然なかった」
地球に宇宙人が侵略してきた?
審査員コメント
上田さん:
語り口を絵で補強していくのが、
なんと言うか気が利いているというか。
説明と絵を少しずらしているのも良い。
物語が単純に好き。
筧さん:
プロの人がデジタルでやっていることを
本当にアナログ使ってやっているのが良いと思う。
SFっていう本来クールなものを、
手触り感というか暖かさで演出しているのが良い。
北見理監督
タイトル「extra」
宇宙人のお父さんと日本人の母
審査員コメント
筧さん:
宇宙人のお葬式という記号がド頭に出てくるのが良い。
王道なSF映画だと思います。
レベル高いですよね、これ。
竹内さん:
最後のシーンの宇宙船を出すか出さないかは、悩むところだと思う。
うちから溢れてくるものを出してきたんだろうな、という感じ。
作道雄、橋ヶ谷典生監督(月面クロワッサン)
タイトル「負けない透明人間」
「透明人間はどこだ?」という番組の模様
審査員コメント
筧さん:
透明人間を主観で描くというのは斬新で良かった。
SFって、SF要素を掛け算しすぎると薄まる。
謎と謎をどんどん増やしていくと、薄まってしまうので
面白かっただけに、ちょい残念。
竹内さん:
最後のオチが、普通の映像からSF映画として昇華した瞬間だと思う。
ジュース監督
タイトル「落札!SF」
過去の遺物となったSFグッズをオークションで落札していく。
審査員コメント
上田さん:
鼻血の表現方法とか、映画っぽくて良いと思う。
竹内さん:
タイムマシンに「臭さ」っていうものを掛け合わせるのが良かった。
この世界観は新しい。
大長陽二朗監督
タイトル「リア充ボマー」
リア充を爆発させることが出来る能力を得た男
審査員コメント
上田さん:
主演の方の見ごたえが良かった。
主演のキャラクター性は自主映画としては欠かせない。
力がある作品で良かった。
筧さん:
主役のキャスティングが良かった。
説明セリフがエンターテイメントになっているのが凄い。
こういう人って独り言多そうだから、長セリフも見れるよね、
っていうことがあるのかもしれない。
竹内さん:
最後のシーンは「アンチリア充」としての
男の矜持だったのではないか。
筧さん:
三者三様の捕らえ方が出来る作品って、素敵だと思います。
バイノットシーズ監督
タイトル「さよなら、不良おじさん」
全国から不良を集めているおじさん
審査員コメント
筧さん:
一回設定した世界観を崩すっていうことは中々しないけど、
数十秒単位でそれを変えていくのがスゴイ。
テロップとかナレーションの文体も変わる。
自分の作ったルールを変えているけど、何かそれが可愛く思えてくる。
竹内さん:
本日初のインナースペースもの。
人の中に宇宙を持っている。
でも、外側にも宇宙があったりして、混沌としている。
その混沌さが良い作品だと思う。
福山茂監督(occasione)
タイトル「そらとぶクルマ」
そらとぶクルマを買いに来た人の話
審査員コメント
筧さん:
会議室のクローズドな世界で展開していたのは良かった。
変に映像に頼らず、会話でSFを展開していたのが好感持てる。
竹内さん:
最後に「もう終わり!?」みたいな声が上がったって言うことは、
それだけみんなが集中してみていたってことだと思う。
粉末・サトイ監督
タイトル「時をかけれても少年」
時は越えられても、運命は超えられない?
審査員コメント
上田さん:
見ていて面白い。
短い時間でリフレインされるのが良い。
リアリティがあって良かった。
筧さん:
映画監督の才能の一つに、「エロいこと」ってあると思う。
この映画は、女の子の太ももの撮り方が良かった。
前田和彦監督
タイトル「SOBAR WARS」
女の子とやきそばとの闘い
審査員コメント
上田さん:
予告編というスタイルは、5分でSFをやるには合うのかもしれない。
回と回の間を、観客が頭の中で埋めてくれるので。
筧さん:
エンドロールの使い方って、難しいと思う。
そこで終わりだってお客さんが思ってしまうので。
真壁幸紀監督
タイトル「三億光年の彼方から」
公園でのレクリエーションサークルに参加する宇宙人?
審査員コメント
竹内さん:
安定した作品だと思う。
5分という制限の中でSF映画となると笑いにいきがちなのを
リリカルな方向に行っているのが良い。
上田:
三億光年っていう距離の単位が使われているのが、
色々考えれて良いなぁと思う。
渡部亮平監督
タイトル「SMILE」
悲しみは笑顔を殺す
審査員コメント
上田:
力の注ぎどころが考えられていると思う。
ラストシーンの笑顔に感動してしまった自分がいます。
筧さん:
ほぼプロじゃないですか、この人。
真面目な感じで作っているので、真面目に評論になるけど
ケチを付けるところがなかった。
ストーリーも分かりやすいし。
雨のシーンもセリフだけじゃなくて、実際に降らせているのも好感持てます。
全12作品を観終わった後、投票が行われ
上位2作品が決定しました!
(有効投票数222票)
第一位61票:渡部亮平監督
第二位34票:大長陽二朗監督
この2作品が登場する第7回SSMFは
7/2(土)に東京・ヤクルトホールで開催されます。
今回通過した2作品を含む全14作品が上映される本戦。
果たしてグランプリを取るのはどの作品なんでしょうか?
チケットは絶賛発売中とのことですので、
皆様も是非是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
なお、本戦終了後の7/16に
カルカルでは「落選監督の宴」と称して
本戦に進めなかったヨーロッパ企画の監督をお呼びし、
「何故この作品が進めなかったか」を考える会が開催されます。
こちらも是非!
(うさげん/mixiカルカルコミュニティ管理人)