駄目な文房具ナイト2
2008年05月28日
第1回に続いて今回もソールドアウトの駄目な文房具ナイト。
見たことないような文房具が次々登場し、我々が知っている文房具はほんの一部に過ぎなかったことが明らかになった衝撃の一夜でした。文房具屋さんで売っている文房具はまさに氷山の一角。場内が騒然となった文房具(氷山で言えば間違いなく水面下!)の一部をご覧ください。
文房具界におけるスリーアミーゴス(シブガキ隊でもよし)。左から他故壁氏、きだてたく氏、高畑正幸氏(文具王)。以下、敬称略で失礼します。
■どこにでもチュッパチャップスは潜む
まずはチュッパチャプスの威力を知った中盤のこのセッションからどうぞ。
きだて 「これはパッと見、文具ってわからないよね」
文具王 「気になるものがひとつついてるけど」
よく見ると左上に青い球体が潜んでいます
きだて 「こうやるとわかるよね、文房具って。」
右上の丸い物体のことですね
高畑・他故 「いやいやいや、折り尺もルーペもボールペンもいいよ。でもよけいなものがひとつついてるぞ」
きだて 「コーラ味って書いてあるじゃん。チュッパチャップスと文具のフュージョンだよ」
このチュッパチャップス文具がかっこいい動きをするのだ。カシャン!とチュッパチャプスが飛び出る。それでひとしきり盛り上がったあと、別のボールペンが登場。違う話に移ったかのように思えたが!
変わっているけど、予想の範囲内のユニークさ
きだて「これはボールペンですよ。スターウォーズの」
他故 「うん、見りゃ分かるよね。首だし」
きだて「と思うだろ、油断させておいて…」
予想外の展開にどよめく店内
他故 「またか!」
高畑 「そこか!」
きだて 「どこにでもチュッパチャップスは潜むんだよ。チュッパチャップスが入るペンポップってシリーズなんだけど、仮面が割れて父じゃなくてキャンデーが出てくる。」
他故 「すごいフォースだ…」
■教育の敵、汝の名はパワーペン
続いて日本の文房具。90年代にトミーから出ていたおもちゃ文房具シリーズ「パワーペン」が魅力的すぎる。FMラジオ、光線銃、楽器、バスケットゴールとおもちゃメーカーの総力を結集したボールペン(でもボールペン)。
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このペンは… | 光線銃! |
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FMラジオつき(これはまだ序の口) | ペンだけど |
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カシャンカシャン!と変形して | バスケットゴールに! |
バスケットゴールペンのかっこいい変身ぶりにはステージから「スペースシャトルみたいだ」と賛辞の声が。NASAレベル。先生にとりあげられるとわかっていても学校に持っていかずにはいられない。そのなかでもこのトランシーバーがいかす(いろんな意味で!)
きだて 「これは赤外線通信装置がついてて、要はトランシーバーなんです。先端の赤い部分から光通信ができるという」
高畑 「すごいじゃん!」
きだて 「でも、だいたい赤外線が届くのが2メートルぐらい」
文具王 「もれてる声がじかに聞こえるんだけどね」
■世界一働き者のねこ
文具をおもちゃにするアプローチではなく、勉強を応援していたはずのハローキティの受験グッズも道を踏み違えていた。この3人がそこを見逃すわけもなく、愛のある駄目だしが降り注ぐ。
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タコウインナー | なんかの中に入ってる |
そしてこの心霊手術みたいなかつ丼キティ。
きだて 「勝つドーン!!」
高畑 「もうすでにキティではなくなってる」
きだて 「キティちゃんも働かされるね」
高畑 「仕事を選ばない」
きだて 「女工哀史って感じだね」
高畑 「脳みそかつ丼だもん」
きだて 「こういうグッズが集められるから受験シーズンが好きで」
他故 「受験ってなんだか知らないけどだじゃれだよね。」
きだて 「受験という人生の一大事に、だじゃれで人の人生をもてあそんでる感じがね、すごく素敵。」
■よかれと思ったのが
便利をめざしたのにいつのまにか不便に着地していた文房具も愛おしい。そういうことってよくありますよね。
きだて 「これは普通のペンに見えますけど、左に回すとボールペン、右に回すと耳かき」
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ボールペン→ | 耳かき |
きだて 「吉本興業が文房具のプロデュースしたことがあって、これは『みみかき』って名前」
他故 「文字もかけるし耳もかける、という」
(うまい!という会場の声)
きだて 「でも、かけないんだよ。この耳かきが短すぎて耳の中に入らなくて。逆にもどかしい」
机に向かってるといつのまにか耳かきしているという人は多い、そして名前もうまくしゃれたのに肝心の実用性が惜しい(名前で満足してるんじゃないかという気もするけど)。続いてこの定規。
定規をジャバラに折りたたんで
こんなにコンパクト
きだて 「たたんだねー」
高畑 「でもさ、薄っぺらいものを持ち歩いてる方が、便利じゃない?」
きだて 「ん? あー、そういう説もあるかもしれない。あとこれはね、使いづらいかもね。」
他故 「まっすぐな線引けないし。」
きだて 「これだけ関節があると長さも正しいか自信ない」
他故 「まんなかにアカデミックって書いてある」
高畑 「アカデミックだなー」
■アメリカンジョーク
文房具(とアメリカも)を見直したのがこのペン。
きだて「これ、指を引っ張ると…。」
?分からなさすぎるペンにきだてさんが解説を加える。
きだて「アメリカンジョークで、プルマイフィンガーってモノがあるのね。 指を差しだして、指を引っ張って!引っ張ってみて!っていうの。で、相手が指を引っ張ると同時にオナラをする。そういうギャグがあるらしいのよ。」
もうこのアメリカンジョークだけでアメリカに対する意識も変わるが、この文具が目指しているところがすごい。
きだて 「自分の腸の調子にかかわらず、いつでもそのジョークができるというボールペン。ギャグができる。オナラが3タイプ入ってます」
ぷいー、ぼー、びりびりびり、
最初聞いたときはおならと思わなかったが、おならだと思って聞くと結構おならに聞こえることも発見でした。
■イロブン恐い部門の頂点に君臨する鉛筆削り
きだて 「単行本を作ったときに、これを小さな女の子が持って遊んでいる写真がどうしても欲しくて、この人形のそばで遊んでる写真を撮ったんだけど、あまりにも残酷な写真になっちゃってナシになりました。これはなにかというと、鉛筆削りですね」
きだて 「これはフランスの通販サイトで見つけて、どうにか手に入らないかと思ってイギリスに住んでる友達に取り寄せてもらったんだ。でも、早く欲しいからイギリスから航空便で送ってもらった。海を渡る生首」
高畑氏が日本の菊人形職人が触発されないか心配していた。たしかに触発されてないで欲しい。
■文具に教えられる自分
次にきだて氏が紹介したのはスピログラフ(歯車のついた円形定規を組み合わせて回すことで幾何学模様が書けるおもちゃ)。それが電動で書けるというもの。
きだて 「紙の上におきまして、スイッチを入れると」
ういーん。自動的に書かれる模様。
きだて「差す穴をかえるとまた描ける模様が違う。これつかってて最近気づいたんだけど、スピログラフって自分でまわして書くから楽しいんだなぁって。なんでも機械任せはよくない」
文具王 「いちばん楽しいところを機械にやられたって感じ?」
きだて 「そう、おれ、この回すところがやりたかったんじゃないのって?おれが目指してたのはここじゃなかった。」
■100点以上紹介したけどまだ半分に至ってない!
今回のイベントでは約100点の文房具を紹介した。前回の60点とあわせて160点。しかしまだ半分にいってないらしいのだ。なんというコレクター。3回目、4回目と続けたとしても全部紹介できるのだろうか。ガウディの建築みたい話である。ぜひこの文房具のサクラダファミリアを体験しに来てください。
ここにいる全員が文房具好きだと思うとそれだけで嬉しい。
(林 雄司)